偽バスタールによる教団史
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「困惑の祭司」とも呼ばれる偽バスタール(生没年未詳)によるダール教団史、初の日本語訳。伝承と神話と偽バスタールによる注釈が近接し、叙述が混乱している。読者は「困惑」という二つ名の意味を知るだろう。
この教団史は教団だけではなく人類の歴史をも記述している。記述はいくつかの伝承を含んでおり、それらのなかで最も長いのがサクシフ伝承である。「この先に恐れあり」と額に刻まれた銅像や三十九の髑髏が並ぶ黒い塔などが登場し予言と神秘的な隠喩に満ちた伝承となっている。また歴史時代に入ってからの山場は王都包囲戦である。その主軸は、迫り来る覇者バスティオンの部隊を前にして、名誉のために徹底抗戦を主張する祭司卿ガニス、そして恭順と譲歩を主張する神殿警護長ダラニエルによる論争だ。しかしその白熱する論争は犠牲牛の頭を城外に放擲するという暴挙で終焉を迎える。
記述は自らが属する教団批判にも及び、「困惑」の二つ名に恥じぬ文業を遺している。ダール教団史研究者必読の書。
【内容】
・一神教と単神教
・神の時代
・断食月と破瓜祭の起源
・単神ダール
・大旱魃時代
・ダール建国
[サクシフ伝承]
・ダールの庶子サクシフ
・サクシフ、眠りの都へ
・黒い塔のモッルーガ
・ダーリド(サクシフ)、眠りの国の王
・ダーリド(サクシフ)、死す
・忘祖時代、祭王時代
・分国時代
・覇者ララベートと覇者バスティオン
[ウドタイ大祭司叙任権闘争]
・祭司卿ガニスへの侮辱と祭王追放
・抗戦派と譲歩派の論争
・王都包囲戦
・ウドタイ大祭司職の世襲制廃止
・赤駱駝戦争とハゼホ国の台頭
・破瓜祭と祭司
・ダール教の大きな分派
・ダール教の小さな分派