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Bush at War

価格: ¥1,629
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Simon & Schuster
Amazon.co.jpで確認
 『Bush at War』は、2001年9月11日の同時多発テロ後の3か月間に焦点を絞っている。この間、アメリカはアフガニスタンでの戦争の準備を進め、対イラク先制攻撃に向けて動きだし、国土防衛を強化し、潤沢な資金を得たCIAが世界中でテロとの見えない戦争を開始した。文体はまさにウッドワードそのもの。重要人物と会える立場を存分に生かし、ニュースの裏側で繰り広げられる権力闘争や意思決定のプロセスを、ほぼ1日ごとに詳しく説明していく。ウッドワードは執筆にあたって100人以上にインタビューを行ってテープに録音した(その中には匿名のものもある)。大統領と4時間に及ぶ独占インタビューを行い、閣僚会議のメモや、機密扱いとされた報告書にも目を通している。

   とくにすばらしいのは、ブッシュ大統領のリーダーシップのスタイルに対するウッドワードの分析だ。ブッシュは、彼自身が直感を重視する「本能で動く人」だと表現するように、常に行動優先で、閣僚のメンバーにもはっきりとした成果を出すようにプレッシャーをかけ続けている。いわゆるブッシュ・ドクトリン ―― どこまでもテロリストを追いかけるだけでなく、彼らをかくまうグループや国家も対象とするというアメリカの政策 ―― は、ブッシュが自ら考えて公表し、ディック・チェイニー副大統領、コリン・パウエル国務長官、ドナルド・ラムズフェルド国防長官には事前に相談しなかったという事実はとても興味深い。

   そのほかの重要人物についても、同じくらい詳しく描かれている。国家安全保障担当補佐官のコンドリーザ・ライスは、やわらかな物腰でミーティングでもややひかえめな人物として登場するが、その一方で、ブッシュは率直な助言をライスに求め、閣僚のメンバーに彼の考えを伝えるために彼女をおおいに頼りにしていることが、はっきりと書かれている。何かと緊張したものになるパウエルとラムズフェルド(と、そこまでではないにしろパウエルとチェイニー)の関係については、イラクへの対応や、同盟関係の強化か単独行動かといった点についての両者の相違が浮き彫りにされている。また、ウッドワードはCIA長官のジョージ・テネットがどのようにしてアフガニスタンの民兵グループを組織したかを描き、それがいかにして国防総省とCIAの協力体制という新しい時代の扉を開くことになったのかを解き明かしていく。

   価値の高い、ときに啓発的でさえある本書は、ブッシュ大統領の足跡を豊富な情報で明らかにする初めての本である。(Shawn Carkonen, Amazon.com)

ホワイトハウスの内幕を克明に描写 ★★★★★
本書は、9.11からアフガニスタン戦開戦に至るまでのブッシュ政権の内幕を描いたノンフィクションである。著者は、ウォーターゲート事件をスクープしたアメリカを代表するジャーナリストであるボブ・ウッドワードである。ウォーターゲート事件に対する同氏の取材方法は「調査報道」と呼ばれるスタイルを確立させ、世界のジャーナリズムに大きく貢献し、1973年のピューリッツァー賞を受賞している。

本書の魅力はなんといっても、十分な取材による豊富な情報量とそれによる臨場感あふれる情景描写である。「淡々とした調子で、最高権力の中枢にいる人々の息づかいが聞こえ、事実の重みがひしひしと伝わってくる」とウッドワード氏の前著の邦訳者が述べるように、ブッシュ戦時内閣チームのメンバーの驚き、怒り、悲しみ、そして問題への取り組みが目に浮かぶようである。

ブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官、パウエル国務長官、ライス大統領補佐官、ウォルフォウィッツ国防副長官、チェイニー国務副長官、テネットCIA長官など、今ではすっかり悪役になってしまった面々であるが、彼らの個性が見えるのも面白い。中でもウーンと唸らせられるのがライス大統領補佐官の存在だ。彼女の存在はブッシュ内閣にとっての生命線だろう。訳者の伏見氏があとがきで的確に表現している。「コンドリーザ・ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の存在は、ブッシュの側近にあってもことに重要で、「わたしは教科書どおりにやるような人間ではない。直感で動くような人間なんだ」と本人が認めているブッシュの行動のバランスを保つのに、おおいに役立っているように思われる。さらに、強硬派・単独行動派のチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官と、国際強調派のパウエル国務長官との間の調整役としても、ライス補佐官は重みを増している。」

その他のメンバーの仕事ぶりにも目を見張るものがある。戦時中ならではの一体感もあるのだろうが、優秀な戦略家と評判の高いパウエルはもちろん、バカ息子よばわりされたブッシュ大統領や、カリスマ性の低いラムズフェルドすら優秀に仕事をこなしている。相手の主張内容を瞬時に判断し、自分の意見を述べる。チームとしての一体感も高い。国務省と国防総省、あるいは国防総省とCIAの対立は日本の省庁間対立を連想させるが、日本の官僚制と比べてはるかに効率的に思える。ホワイトハウスの優秀さは、日本の内閣を構成するトップメンバーと比較するのも残酷なほどである。

ただし、読書にあたっての注意点もある。読者がホワイトハウスのメンバーを追体験するあまり、9.11テロから現在に至るまでの対テロ戦争の流れに無意識に同調してしまう要素があるためだ。実際に私は本書を読んで、少なくともアフガン開戦に至るまでは、ある程度の正当性があるのではないかと考えた。それは国内世論の反映でもあるし、同時多発テロ以降アメリカを覆ったテロへの恐怖感の強さを実感したためである。こうした理由もあるため、「倫理的」あるいは「国際法的」観点から相対化の試みは必要であろう。しかし本書にそこまで求めるのは酷である。本書はアメリカ最高のジャーナリストによる戦時政権の内幕の描写としては第一級の資料価値があるだろう。
オバマに代わる直前に読むと/イラクへの開戦理由で情報面の誤認をブッシュが認めているから ★★★★☆
 9・11での攻撃を受けて、戦争の開始がどのように始めたのか?それをドキュメントとして記述している。
 対イラク戦ではブッシュの開戦理由に間違いがあったことがすでに明らかになっている。
 試行錯誤といえばそれまでだが、判断ミスがなぜ起きたか。情報の空白を誰が埋めたのか。ワールド オブ ライズやグッド シェパードの映画に出てくる現場を前提にして読むと、結局、ベトナム戦争の際のthe Best and the Brightest と大きい違いがあるのかどうか。中枢の決定の仕方が興味深い。
 だが、事態が進行しているために筆を押さえている。削除された部分に関心が行くが、読者にはわからない。
政策決定過程を読み取れる本として ★★★★★
9.11から始まったアメリカによる対テロ戦争。それは現在に至るまで世界大の問題として取り組まれてきたが、そこにはアメリカの見通しが甘かったという批判が絶えない。

本書は、9.11からの100日の間に、ブッシュやチェイニー、ラムズフェルド、パウエルなどの閣僚が何を議論し、どのように政策決定がなされたかを、会議の筆記記録やインタビューを元にして、再現しようとしたものである。文章は躍動的であり、彼らの怒り、不安、焦りが伝わってくる一方、筆者による推測で書かれている印象をほとんど受けないほど情報源の確実性を感じる。9.11がアメリカのトップ層に与えた衝撃と混乱の様子が手に取るようにわかり、決定を下すことの困難さとそれに伴うリスクの大きさは、政治の世界に身を置いていない私たちの想像を超えたものである。

内容を鵜呑みにするのは、公式な資料が開示されてない以上、危険であるが、アフガニスタン戦争に至るまでの政策決定の様子を知るには最適。特にブッシュ政権の対外政策を批判する人には、一度は目を通しておくことを勧める。現在の対テロ戦争が行き詰まった原因が、この当時から示唆されていたようで興味深い。
ホワイトハウス内部を覗き見る感覚 ★★★★★
9.11からアフガニスタン侵攻に至るまでのブッシュ政権中枢の様子が臨場感たっぷりに描かれている。外から見れば、すんなりと攻撃に移って、わりとあっさりと成功したようにみえたが、実はその裏ではそうとうな苦悩があったことがよく分かる。戦闘準備期間が短く、ターゲットは何のインフラもない山岳地帯。。。勝利をおさめることの難しさが会議の様子などからよく伝わってきた。その会議の中心となるブッシュであるが、9/11以降の彼を見ていると超強硬派かと思いきや、本書からは、意外と色のない中道的な人なのだなという感じを受ける。自分が専門知識が不足していることもよくわきまえていて、それが次の言葉に現れている。「私に素質か知恵が備わっているとすれば、才能に目を留めて、チームとしてともに尽くし、働いていこうと呼びかける能力がそれにあたるだろう。」そして、自分の欠点への埋め合わせなのか、彼は才能溢れるコンドリーザ・ライス大統領補佐官(現国務長官)をとても頼りにしていることも、本書からよく伝わってくる。他にも、対外強硬派のチェイニー&ラムズフェルドと穏健派のパウエルとの間の駆け引きなどが描かれており、ホワイトハウスの中を覗き見ているようで面白い。著者はニクソン大統領退陣のきっかけを作ったウォーターゲート事件をスクープした人として有名であり、その名声に恥じない圧倒的な取材力である。
ダイナミックです。 ★★★★★
本書は,ブッシュ大統領と側近が,同時多発テロを知り,戦争を決定し,実行するまでを丁寧に書き上げている.私にとって,本書は,テロ撲滅戦争やブッシュ政権の意思決定の是非を考えるための物ではなかった.それよりも,政治とは指導者達の意思決定により現実を生み出していくものであるというダイナミズムを感じる事ができた.つまり私は,本書を読み,政治の本質を見た.政治とは、リーダーとは、何かを知りたい人に、お奨め申し上げます.