まっとうなスポーツ文化研究
★★★★☆
スポーツは現代社会を覆っている重要な文化現象である。
にもかかわらず、これまでスポーツを扱った研究書はさほどなかった。本屋で見かけるスポーツ関連の本は、たいていはジャーナリスティックなものだったり、どうすれば勝てるかといったハウツーものだったりする。
また文化研究書も、映画研究だったりテレビ研究だったりアート研究だったりして、文化としてスポーツを扱うものも少なかったように思われる。
そのような状況の中で、この『近代スポーツ文化とはなにか』という単行本は、スポーツを文化としてはじめて「真っ正面から」論じたものであろう。好著である。スポーツについて、あるいは現代社会について考えたい人には、適切な指南書となるだろう。
文体にやや理屈っぽい部分もあるが、文章の中にはトリビア的なスポーツ雑学も混じっているので、初学者にとっても読みやすい作りとなっている。