役に立つ論理学
★★★★★
無味乾燥な記号論理に嫌気が差していた私にとって、この本は、非常に興味深いものでした。この本では、我々が日常的に行っている様々なタイプの非形式的論理思考を検討することから始まり、その後に形式的論理を取り扱っていくという順番で話が進むのですが、この非形式的論理の部分が非常に面白い。これは2巻についてもいえます。この部分は、メディアリテラシーの教科書としても使えそうだし、また、認知療法的側面もありそうです。形式的論理ばかりやらされて、論理学なんて役に立たないじゃないか、と感じていた人にはお勧めだと思います。
ただ、実は、非形式的論理の章から形式的論理の章へのトランジションが結構唐突な感じがします。実際的な問題意識に根ざした論理学の後に、科目としての伝統的論理学が唐突に姿を表すような感じです。この辺が、まだこの本のこなれきれていないところなのかもしれませんが、これを差し引いても、私は十分満足しています。