あるあるで、十二分におもしろい
★★★★☆
お洋服エッセイで、女流漫画家のコミックエッセイの多くがそうであるように、決してモテ系ではありません。
「おしゃれの川下」を自認する番子さんは、毎日毎日いちいちおしゃれに命をかけてらんない私たちを代弁するように、
というか、そのまんま日々の私たちであるので、あーあるあると読みながら発見ですよ。
私は番子さんの読書系・創作系のエッセイが好きなので、お洋服ネタと聞いて「なんで?」と正直思いました。実は読んでも、それ系ほどには感銘を受けない。普通に面白いけど。
でも、この手の普通のエッセイコミックを普通に書ける時代になったんだなとか思いました。妙に背伸びをしたり悪ぶったりする女流コミックエッセイじゃなくても良くなったんですね。傑作は「ひねもすハトちゃん」ですけど、こういう日常エッセイの延長に「ハトちゃん」があるのかも?
しかし天人唐草のコスプレかー。かっこいい!
おしゃれって難しいですね
★★★★☆
暴れん坊本屋さんで一世を風靡した久世番子が
洋服やバッグなどの被服について語ったエッセイ漫画です。
ファッションやメイクについて語るエッセイといえば
「おしゃれしないなんて信じられない!○万円ぐらいの服はふつう!」
なんて論調でおしゃれ好きな少女マンガ家が描いてるものが多いですが、
そこは久世先生の漫画、そんな気負いは一切ありません。
それどころか作者は相変わらず2頭身のカモノハシのままです(笑)。
二の腕が太って袖のボタンが留められない、
おなかまわりがふくよかだからベルトがまったく余らないでぎちぎち、
毎日同じようなデニムをはき続けている…などなど
「ああ、あるある。私そこまでファッションに気を使わないし」
というエピソードが多く、気楽にゆる〜く読めるのがいいですね。
こんな風に書くと
「身なりに気を使ってないダサいマンガ家の話?」と思われそうですが、
もちろんそんなことはなくて、
読んでみると久世先生がどれだけ被服を愛しているか分かります。
最先端の流行に息切れしながらついていく(ついて行ききれない)、
そんな「おしゃれ川下」の人にこそ読んでほしい
あるある系エッセイでした。