日本の被差別部落の底にあるもの
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野間宏氏との共著4部作の最初の著作である。「被差別民の歴史と文化」とサブタイトルがつけられている。
インドの<浄・穢>とバラモン教、中国の<貴・賤>、国家宗教として輸入された南都仏教・密教・天台の<浄・穢>とそれに対する浄土教(法然)・浄土真宗(親鸞)の意味について、現地での体験を基にした深い思索と苦悩が如実に伝わってくる。4部作を読み終えて、改めてこの「アジアの聖と賤」に戻って読み直すと、日本における部落差別とそれを支える権力構造について、見直さなければならない大きな課題として私に迫ってくる。