校長の元木昌彦(元「週刊現代」編集長)は「私の新米編集者時代に、仕事が一段落して一杯飲みながら、先輩や古手の記者たちが聞かせてくれた、取材の裏話や失敗談が、今でも忘れられないほど面白かった。(「編集者の学校」は)そんな“飛び切り”の話の幾らかでも次の世代に伝えてあげたいという思いで始めた」と語る。
編集者たちは口々に、編集ほど楽しい仕事はないんだと熱く語る。特に冒頭の見城徹のインタビューは圧巻である。ライターたちは、文字どおり自分たちが身体を張って得てきた取材の極意を、惜しげもなく披露している。彼らが折に触れて口にする座右の銘や好きな言葉にも、捨てがたい魅力がある。たとえば、花田紀凱の「編集者は接客業だ」という言葉。あるいは、佐高信が好きな吉野弘の詩「祝婚歌」の一節。
ここに収められているのは、編集の実務的ノウハウというよりは、編集者・ライターの気構えであり厳しさであり、なによりも「編集する」「書く」という仕事の楽しさである。 (文月 達)