インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

Salem Falls

価格: ¥692
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Atria Books
Amazon.co.jpで確認
ちょっとバレバレ、マンネリ、そしてやり過ぎ ★★★☆☆
巧みな構成とあざとさが売り(?)の作者2001年発表第8作。今回のテーマは(広い意味で)性犯罪ということで、相変わらずツカミはばっちりです。

が、これまで作者は実は極めて俗っぽいテーマとセンセーショナルなストーリーをそうと悟られないギリギリの線で展開させてきましたが、本作ではガードが緩み勝ちでそのたくらみが若干露見している気がします。後半もフラッシュバックを交えて事件の全貌を巧みに再現しますが、第4作“Mercy”以来、裁判をクライマックスに据えており、流石に新鮮味に欠けてきました。昔Eric Galeというジャズ/フュージョン・ギタリストがいて、彼のアドリブは「偉大なるワンパターン」と称されていましたが(いたか!?)、何だかその境地に達してきたような。その裁判で主人公を担当する善玉弁護士も第5作“The Pact”に続く再登場で、まさかNHKドラマ『事件』の若山富三郎みたいな扱いになるのではなかろうかと心配です(例えが古過ぎて、済みません)。
一番いただけなかったのはラスト2行で明かされる作者渾身のどんでん返しです。やっぱねとある程度は読めていたのですが、推理小説じゃあるまいし、そもそもそれなら本作は全く違う形で語られるべきだと思います。そこまで読者をびっくりさせることに執念を燃やすのは本末転倒かと。

思春期の少女に人生をメチャクチャにされるというテーマは先日読んだI. McEwanの“Atonement”と同じです。尚、日本で見かけるマスマーケット(英国版?)は見るも無残ですが、米国版ペーパーバックは表紙が素晴らしく、本作はデビュー作“Songs of the Humpback Whale”と並んで芸術的です(アマゾンの表示とは違います)。