戦争という傷が作った人生の始まり、二人の関係が切ないです。
自分の人生の秘密を柏田に手紙で明かすマリアが悲しく、また孤児として育った二人の、そして同じく孤児であり障害者である洋の、マリアに対する優しさ逞しさにも、感心します。
現役最後の事件として、外国人宅窃盗犯逮捕に執念を燃やす刑事の柏田。
恵まれない子供たちのために養護施設を営むマリア。
孤児院でともに育った二人は恋をし、そこから複雑な現実が交差し始めます
そしてマリアの胸の奥底に沈む秘密までもを明るみに出していきます。どこか哀しく切ない恋愛小説です。