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赤い月〈下〉 (文春文庫)

価格: ¥36,854
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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国家に見捨てられた人々 ★★★★☆
下巻を読み終えて、まず、みんなで満州を開拓しよう!と国を挙げて奨励していたのに、戦争に負けると満州に渡ったのは自分で勝手に渡ったのだから、勝手に帰ってこい並の国の対応に怒りを感じた。
そんな混乱の中で母として女として凄まじいエネルギーで生き抜く波子。
”お母さんは自分勝手だ。あんたなんか大嫌い!”と娘三咲から言い放たれても、女として生き抜くことを忘れない女性。
子供たちは自分自身、自分自身を守り愛し生きぬくためには、愛する男がいなければ生きていけない。。ときっぱりと言い放つ。 アヘンに溺れる氷室をたちなおさせるためにとった彼女の行動力のすごさも当時の日本女性には考えられないほど行動的。
満州から引き上げても言い知れない苦労があったはずだが、このお話は日本の陸が見えたところでおしまい。 47歳で脳梗塞で倒れ半身不随になったと大人になった兄弟がある人(ここで言ってしまうとネタばれ)に教えることで、波子のその後の人生が具間みれる。
栄光の極みとどん底の貧困を一揆にかけぬけたすごい女性。この母あってこその作者だったのだろう。
衝撃の昭和史 ★★★★★
極限状況で人は如何生きるか。
修羅場で人は如何生きるか。
様様な価値観の葛藤。
見事な作品。

私的には、氷室の行き方、苦悩に心打たれる。
贖罪。人は止むを得ず罪を犯した時、如何にすべきか。
耐え難い苦悩に直面した時、如何に生きるか。

巨大な歴史の歯車は今もあらゆる罪を人々に課し続ける。
人類の苦悩は尽きないのだろうか。。。
淡々とした怖さ ★★★★★
 「兄弟」と同じようになかにし礼の自伝的小説です。ただし、主人公は母親の波子。
 「兄弟」で書かれていないなかにし礼の人生の隙間を書いた感じです。戦時中の満州の発展から、戦後の地獄のような有様。それを膨大な量の参考文献と自身の経験から物語を紡いでいきます。
 それと注目したいのは彼の文章の持つ淡々とした響きです。パーっと読んでしまうと、何か下手な文章のように見えますが、それは違うと思います。彼は地獄を経験しました、そして読者も経験者あるいはそれがどんなものであったかを知っています。それなのにこの文章はあまりに淡々としすぎています。
 僕は読んでるうちに恐怖感を覚えました。ある種の凄みを感じたのです。地獄を日常生活のように書いていることによって逆にその凄さを感じてしまいました。
 物凄い文章を書く人だなと思ってしまいました。
戦争反対 ★★★★☆
容の大半はなかにしさんが実際経験された事とのことですが、壮絶です。あの時代に生きた方は皆さん様々な経験をされているのでしょうが・・・。私が同じ立場にいたら、波子(主人公でなかにしさんのお母様)程に強く、激しく子供を守って生き抜くことが出来たかしら。あ~怖い。戦争反対!!!ところで、今日映画を観てきましたが、原作を読んでいなかったら違う感想を持ったかも。上下2巻の小説を短い映画にするのはやっぱり難しいのかな。映画を観る前に原作を読むことをお勧めします。
女性は強い! ★★★☆☆
著者である、なかにし礼氏の自伝的な作品です。著者の実際の体験を基に書かれた作品と言うだけあって第2次世界大戦前の満州国の繁栄と敗戦後の崩壊ぶりが手に取るように解る内容です。満州国とは一体何だったのか、当時の日本という国は何なのか。ともすると〝ラストエンペラー〟溥儀の側から描かれるものから見てしまいがちな歴史を開拓者である日本人の一般人の側から原体験をもって語ることでその存在を見事に浮き上がらせたと言えます。
そうしたなかにあって主人公の波子が一人の母親として、女性としての本能をもって過酷な環境を乗り切る壮大な物語となっています。この作品は波子役を常盤貴子が演じて映画化されるとのこと、楽しみです。