父子纏 (投扇興茶屋おちせ)
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お千世は、たまに子供たちに投扇興を教えたりするが、いま、九歳の健太という子供を可愛いがっている。健太の父弥太郎は、かつて町火消しの花型、纏持だったが、自分の過失で人を自殺させてしまったことから、すっかり落ちぶれ裏長屋で息子と二人暮らし。妻と別れ、酒と賭け事で荒れた毎日を送っている。健太はこのダメ親父の面倒をみている。一日も早く父を立ち直らせたい息子の心情にお千世はうたれ、弥太郎の再起に世話をやく。そのチャンスが訪れたとき、息子は父の命を心配し反対するが、火事場で弥太郎の勇気が蘇る。同心貴孝の調査で父の過失でなかったことが判明したとき、弥太郎は……。そして健太は……。父と子の絆を人情たっぷりに師走と正月情緒の中で描く。