異人種間結婚(禁止)の歴史
★★★★☆
つい数年前まで、アメリカ・サウスカロライナ州の「ボブ・ジョーンズ大学」なる福音主義系高等教育機関では、学生の異人種間デートを禁止していた。アメリカ社会における「人種」(と性)の問題は根深い。だが、この問題についてこれまで日本ではあまり注目されてこなかった。
本書はアメリカ史における最重要争点の一つである「人種」問題の一側面を、異なる人種のカップルの結婚を禁止する法律とその廃止の歴史をたどることを通じて把握しようとするものであり、その試みは成功しているといえる(但し、異人種間結婚問題のみでアメリカ史における「人種」問題を論じることが妥当かどうかは議論の余地があるかもしれない)。この問題について手軽に目を通せる日本語文献が乏しい中で、価値ある一冊。