18世紀後半のスコットランド。アメリカに研究のために赴いたヒーローAlistairは、悲惨な目にあって、顔を傷つけられた上に片眼と手の指を2本失い、古城に使用人もほとんどいない状態で引きこもっています。
そこに訪れたのが、公爵の愛人としてロンドンで長年過ごし、その愛人の息子と娘を産んだヒロインHelen。
自ら愛した人とはいえ、冷たい愛人から逃れるために知人の紹介で、ヒーローの古城にHousekeeperとして滞在することに。

家族からも離れ、ひっそりとかくれるように暮らすAlistairは、美しいHelenとかわいい二人の子供たちに囲まれて、徐々に暖かい生活へと戻ってきます。
Alistairの心の扉が徐々に開いていく過程がよい。また、Helenのかわいい子供たちとAlistairの飼い犬との交流もほほえましい。
Hoytの良さは、こういった脇役陣やかわいい動物がほほえましいところにあります。悲惨なヒーローの過去も、ちょっと辛いはずのヒロインの過去も他の作家では描ききれない深みを出して、しかも和らげてくれる力があるのが不思議です。
読んで、心が温かくなるそんな作品です。過去ありヒロインが苦手な方でも、Hoytのヒロインは清純さと自ら行動する行動派であるところで、受け入れられやすいと思います。

ホイトのヒストリカル、４人の兵士シリーズ。今回のヒーローは、対仏大陸植民地戦争に巻き込まれたスコットランドの貴族。一方、ヒロインは、大貴族の愛人で２名の子持ち。
このヒーロー、スコットランドエンジンバラからも遠い片田舎らしきところにある先祖代々の薄汚れた城に隠棲して、自然科学の本をこつこつと書いてます。彼は、大陸戦争時、想像を絶する虐待を受け、顔の半分と目を失い、指の一部も失い、人前に出たくない、ということで世捨て人の生活を自ら選択。自然科学者の彼は、でも実はやさしい心を隠していて、ヒロインの子供たちも控えめながら、やさしく接します。ヒーローの老いた愛犬に対しても同様。繊細な知的なヒーロー。また、女性に対する激しい情熱も秘めています。ヒロインは、公爵の愛人という身分を１０代の頃から受け入れてそれなりの生活を保障してもらってきましたが、愛がない、ということで今の物質的に恵まれたロンドンの愛人生活を捨て、新しい自分になるため、ヒーローの城の家政婦になるべく、ロンドンから子供づれでヒーローの城にやってきます。そこで二人のロマンスがはじまるわけです。ストーリーの筋書きは、たいした謎もなく、他愛もないものですが、ホイトの子供、動物の使い方がうまく、ヒーローおよびヒロインの過去はつらいんですが、ほのぼの感もあります。ヒーローは、引きこもりではありますが、ヒロインには強引にせまるのでホットな描写に関してのホイト節は絶好調。終わりがあっけない感じがしましたが、今回作、会話もホイトの良さが出て、ユーモアとセクシーさがあふれ、楽しく早く読めました。今回も虐殺の背景にいる裏切り者探しは、進展はしませんでした。