なぜ、人間にはパフォーマンスが優れた者と劣った者がいるのか。なぜ人類史上に燦然たる光輝を放つ天才・英雄・名人などに対して無数の平凡な人々がいるのか……。運動科学者である筆者・高岡英夫は心と体の境界領域に、脳と五体を運用して人間にあれほどの巨大な能力・業績・人生の違いを生じさせるシステムが存在すると考えた。そして、脳と五体を運用するシステムに「ディレクト・システム」という概念を、そしてそのディレクト・システムが存在する“層”として身体意識という“層”の存在を考え、それによって天才・英雄・名人などの設計図を表現したのが本書である。身体意識とディレクト・システムがどのようなものであるかという原理的な問題は、『意識のかたち』で扱っているが、本書はそれを人類史上の英雄・天才・名人達の具体的なディレクト・システム図として公開、解析する。ディレクト・システムの発見には何が必要だったのか、ディレクト・システム理論の役割とは何かを序章とし、宮本武蔵、モハメド・アリ、ベートーベン、大山倍達、ピカソ、ナポレオン、ミケランジェロなど、十一人の歴史上の人物から、黒田鉄山、Nido＝神津圭子、カール・ルイスの本質力の比較など現在も活躍する方々、そして針ケ谷夕雲以下４代にわたるディレクト・システムの解析から無住心剣術の具体的な術技の全容を解明した話題の書。人類史上最大の遺産を公開する“衝撃の一冊”。