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日本文学史 (講談社学術文庫)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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膨大な読書量無しに共感は不能 ★★★★☆
率直に言って、小西氏のとてつもなく膨大な読書量に驚嘆する。さらに、その分析力、統合力に驚かされる。その足下にも及ばない小生としては、ここに書かれた内容に、『はあ、そんなもんですか…』と、従わざるをえないのだけれど、此方は原作を読んでないから、からきし実感がわかない。なぜ、そう言えるのか、からきし納得が出来ない。納得できないのは、自分に小西氏ほどの膨大な読書量がないからである。古典文学に精通した、学者並みの読者のみが、本書を読みつつ『実感』する事を許されるのである。あるいは、反論する事が許されるのである。ただただ記された結果のみを鵜呑みにしては、おいそれ『わかりました』とは言えまい。原典の本文の引用は全く無いので、読者に、それらは読破済みである事を要求する『日本文学史』である。それでも実感をもって、読むためには、本書に関わる全ての古典(!)を読破、消化、自ら分析、統合せねばなるまい。
古典作品への水先案内 ★★★★★
 日本人が書いた文芸作品がある時期を境にしてまったく理解しづらくなってしまうのが前から不満で、改めて古文解読を学んでみようと小西甚一という著者を見つけてその著書を取り寄せてみようと思ったときに、この文庫も検索にかかったので読んでみた。

 全般的に著者の執筆意図が明確にされているので読みやすく、その内容は以後の日本文学通史のオーソドックスの一つになったのではないかと思った。以前読んだ平凡社刊の「日本語の歴史 全7巻」の内容と、話の展開がほぼ同じであるからだ。もちろん「日本語の歴史」のほうが出版時期ははるかに遅い。

 また、外山滋比古の日本文化論はこの著作から確実に「頂いている」し、他の論者についてもこの文庫を種にした意見は見つかりそうだ。

 そしてなにより、ここでの記述を読んでいるとさまざまな古典作品が読みたくてたまらなくなってくる。その誘いに乗ると、あの厳しいテキストを読み砕かざるを得なくなるという、おもしろさ半分大変さ半分、といった心境になる。

 古典作品への水先案内書か、ハーメルンの笛の音か、といった魅力的な著書。
クラッシク&ロマンティク ★★★★★
『日本文学史』という題名には、出版者の意向とはいえ、流石の小西氏も不満であったようであるが、読書中頷くこと屡々、緻密な歴史観から繰り出される独特の語り口と説得力に心酔してしまった。
万葉、和歌、漢詩、能楽、連歌、俳諧、そして擬古典主義と浪漫主義等々、大学における「日本文学史の講義」内容であったとあるが、「雅」「俗」「俳諧」といった三次元座標軸で日本文学の流れを捉えたことは、当時としてはあまりにも斬新な試みであっただろう。
更にそのヒントとなったのが、フリッツ・シュトリヒの「クラッシク」と「ロマンテック」の定義にあったと言うのであるから目を瞠った。
つまり、「古典的」と「ロマン的」という両者の定義に基づいて第三の<クオリティ>を求めた『禅とオートバイ修理技術』の著者、ロバート・パーシグと重なってしまったのである。果たしてパーシグはこのシュトリヒ説を知っていたのだろうか?

小西甚一、フリッツ・シュトリヒ、ロバート・パーシグ、面白い組み合わせができそうだ。
わくわくさせてくれる名著である。
わかりやすい文学史 ★★★★★
 何年にどんな作品、というこまかなことではなく、上代から近世までの大きな
流れを「雅」と「俗」という軸で区分したことで、全体の”つかみ”が可能になり
読む人には理解しやすい内容になっています。
上代から近世までの日本文学が、中国の影響無しでは存在しないということも、案外
忘れがちですが、大変重要なことで、本書によってそれが理解できます。
 本書は、特に始めて文学史を勉強する人には、文学史全体をつかめてわかりやすい
ので、おすすめです。
 
文藝現象のダイナミクス ★★★★☆
 .
 小西甚一と言えば、受験参考書と古語基本辞書でお馴染だった、ではなく今も現役のようだ。古語の助動詞の説明を英語で対応させた秀逸の説明に「だから古文は面白い!」とほくそ笑んだ想い出がある。

 文学史の本は丸谷才一の「日本文学史早わかり」を読んだ程度である。本書の読後感は、このような考え方もあるのか、またこのような斬新な考え方が日本文学史と言う古色蒼然とした分野に導入されたと驚いた。ところが、本書の初版は1,953年とのことであり、優に半世紀以上前のことである。

 小西氏は、連歌を山田孝雄(ヨシオ、いわゆる「新解さん」のお父さん)に、能を観世寿夫にそれぞれ師事したという。
 本書はいわゆる文学だけでなく、能、狂言、連歌、幸若舞、浄瑠璃、歌舞伎といった、諸種の日本の芸能にも実によく目配りしている。もともと本書のタイトルも「日本文藝史」を目論んでいたことからもわかる。

 そして本書の序に『将来、文藝現象そのものをもっと大規模に把握した研究が成就される途上の、ひとつの路標にでもなれば、この上の幸せはない』との意気込みはその後「日本文藝史」(全5巻)(講談社、1986年)に結実し、平成四年の大佛次郎賞の受賞へと続く。また、あとがきには、ドナルドキーン氏とのライバル心も披露されており、興味をそそられた。

 文藝現象の展開を因子分析よろしく、「雅」「俗」「俳諧(後に雅俗)」の三次元座標軸に投影し、日本文学を「世界」視点から把握した。