若きエンゲルスの怒りと悲しみ
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共産党宣言を出す3年前にエンゲルスが書いた、当時のイギリスの労働者階級の実態です。
アイルランド系移民が溢れ、彼らは安いという言葉すら憚られるよう賃金で、文字通り最悪の生活を営んでいました。
結果、彼らは人間らしさを失い、獣と成り果ててしまっているのですが…
その原因を彼らの怠惰や自由意思に帰結するのではなく、彼らにはその道しか選択できなかったのだと、真の黒幕を糾弾する若き日のエンゲルスの怒りと悲しみが、150年以上の時を経てさえ、文章の端々から伝わってきます。
この頃より随分とマシにはなってきているものの、21世紀の日本でも基本的な構図が変わっていないことに、私もまた怒りと悲しみを、おそらくはエンゲルスが抱いたであろう感情と同じものを覚えるのです。