先人の知恵袋としておすすめの一冊
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僕は今、漢字(とくに四字熟語)にはまっています。
世界中の全ての言語のなかで、漢字こそ、本当の洗練された文字だと思っています。
そして、そんな豊かな漢字文化を伝承している我々日本人は、
最高に幸せな民族ではないかと考えています。
そういった観点からこの本を読むと、いろいろと興味深いことを発見しました。
「虎として石に立つ矢のあるものを…」は射石飲羽(楚の熊渠子が暗闇の石を射た故事)
また、精神一到、一念通天。
「浅き瀬は波高く…」浅瀬仇波。
「雨だれにくぼみし軒に…」点滴穿石
「悪しきこと人は知らぬと…」天網恢々。
「世の中は何か常なる…」蒼海桑田、蒼桑之変、諸行無常。
「朝起きて夕べに顔は…」紅顔可憐。
「昨日といい今日と暮らして…」光陰如箭、烏兎匆々。
「立てそむる志だにたゆまねば…」驪竜之珠、頷下之珠。
「吉野川その源をたずぬれば…」嚆矢濫觴。
と四字熟語に置き換えることができます。
そういった楽しみかたもありますが、もちろん処世訓として、
座右の書として実の用としても役立ちます。
五七調の、覚えやすいフレーズで書かれた、先人の知恵袋としておすすめの一冊です。
目からウロコ
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「道歌」という言葉を知らなかったが、掲載歌のなかで知っているものや、今まで聞いたことがある教訓的な歌があり、このような分野があるということを知った。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり」という言葉は知っていても、その上に「山川の末に流るる橡殻も」と付くなどとは思ってもみなかった。そうした言葉が多く、目を見開かされた思いがある。また、今の解釈で生きる示唆が多く解説してあり、とても励まされ、「今日からまたきちんと生きていこう」という意欲が湧いてきた。私の座右の銘にも生きる指針にもなる言葉があり、また子どもを育てるときに、このような言葉をかけて育てていき、昔からの教え、日本の文化を継承していこうという気になった。けっこう地味な本だと思ったが、なかなかいい本だと思う。歌好きの友人から勧められて読んだが、歌に無縁の私にも、かなり目からウロコの本になったと思う。