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モンスターペイシェント―崩壊する医療現場 (角川SSC新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 角川SSコミュニケーションズ
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現場のモンスター問題から我が国の医療制度を考える ★★★★☆
第一章は圧巻です。現場のモンスターのさまざまな有様が、脚色されているとはいえ、著者の体験をもとに紹介されているからです。モンスターに振り回された経験を持つ医療者にとっては、自身ではなかなか表現しがたいことを、著者がズバと代弁してくれています。

医療の現場のモンスターとは、医師と患者の関係が悪化していることの現れであるといいます。どうして医療の現場が混乱しているのか。その背景には、アメリカの金融モンスターの存在が。医療経済をミクロで見ても問題はモンスタ、マクロで見ても問題はモンスタというわけです。

現場のモンスタの有様も読んで面白いし、マクロの医療経済の話も参考になります。
容認できない点が一カ所 ★★★★☆
マスコミ報道では常に強者として糾弾される側にいる医師が、実際はむしろ弱者としての立場に立たされている面もあるという実情を伝える意味で価値のある著作だと思う。獣医師も現在同じ状況に置かれることも少なくない立場上、多くの点で同意できる記述が多い。しかし、医療事故があったときの「イヌ・ネコの場合には...新しいワンちゃんを弁償します、と示談交渉をするのでしょう。しかし、人間の場合には、そうはいきません...」という下りだけは残念ながら容認できない。飼い主の方々は(みんなではないにしても)犬や猫を家族の一員と考え、それゆえに動物病院にも連れてくるし高い治療費も支払うのである。「弁償します」なんて飼い主の心を踏みにじるような言動は論外であるし、それこそトラブルのもとにもなる。この点だけは見解の違いではなく事実誤認といえるので、まだ執筆当時の認識のままでいるなら認識を改めて欲しいと思うところである(他の部分が良いだけに)。
モンスター・ペイシェント対策は貧困層をなくすこと ★★★★☆
 本書で知ったモンスター・ペイシェントの行動は、民間企業におしかける「クレーマー」の上をいく理不尽さでした。
 文句をいいはじめるきっかけは様々ですが、怒りはじめると止まるところを知りません。
「オマエが責任者か!」と怒鳴るのは序の口で、罵詈雑言であきたらず、「これから3日以内に、こいつの家族を皆殺しにする」と脅迫するような実例も本書に書かれています。

 この威圧系モンスターのほか、強要系モンスター、何でも権利派モンスター、不満大王系モンスターなど、手に負えないモンスターの実態は、本の向こう側で起こっているかぎり、珍しい生態を持つ生き物のようです。

 でも、当事者はたまったものじゃありません。
 南さんは、モンスターが個室のドアを閉めようとしたとき、「閉めるな」と大声を出したこともあります。
 いざとなったらテーブルを蹴り倒して、そのすきに逃げ出すルートを確保しておかなければ、こちらの命にかかわるのです。

 かなり強烈なモンスターの実態を1章で述べたあと、本書は医療が荒廃していく状況を克明にレポートしていきます。
 医者に厳しすぎる裁判結果のせいで、生死にかかわる診療科の医師が不足するようりなったこと、セカンド・オピニオンやインフォームド・コンセントのまやかし。
 第4章「医療費亡国論のウソ」では厚生労働省や財務相のウソを告発し、第6章では、アメリカの年次改革要望書が医療機器メーカー、医薬品メーカーの利益を擁護していることにまで言及しています。

 モンスター・ペイシェントの問題だけでなく、医療の現場から見た問題分析という大きな視点に立つ南さんです。

 直接的な対策として、モンスター・ペイシェントを一斉告発する。根本的な対策は、なんといっても貧困層をなくすことですが、南さんは医療制度のあり方について提言しています。

 厚生労働省のお役人に聞かせたい内容です。
医療崩壊の実態を理解し,解決にむけた努力をすることが必要 ★★★☆☆
医者や医療関係者に罵詈雑言をあびせたり特定の治療法を強迫したりする患者つまりモンスター・ペイシェントがこの本のタイトルになっている.しかし,この本がカバーしている範囲はそれにとどまらず,ちょっとしたミスで医者が逮捕されるようになってリスクのたかい検査や治療をさける傾向がでてきていること,医者が信じられずに病院を転々とする患者,医者の過酷な労働など,さまざまな問題がとりあげられている.

医療制度改革に関しては,新自由主義的な改革によってイギリスやアメリカの医療が悲惨な状態になっていること,日本でも小泉改革によって上記のような危機的な状況がもたらされたという.このまま「小さな政府」や民営化の政策がつづけられると事態はどんどん悪化していくと著者は主張している.医療再生のための提案もしているが,十分な内容だとはおもえない.

解決への道はとおいようにおもえるが,意外なことに著者は「光はうっすら見えています」と書いている.まず,おおくのひとが実態を理解し,解決にむけた努力をかさねることが必要だろう.
社会医療費抑制が、モンスターを増加させているのではないか? ★★★★★
“モンスター・ペイシェント”という題名から、モンスターたちの具体的な事例を挙げて解決策を提示するような本かなと思い購入した。
しかし、事例の紹介は最初の50ページ程度で、
・医療訴訟の増加で医師が恐怖に怯え、現場から逃げ出している現状
・医療費亡国論ではなく、社会保障費興国論が正しいのではないかという問題提起
・医療の民営化に日本が走り出していることについての疑問
・・などなど様々な医療のテーマについての記述がメインであり、非常に興味深い内容だった。
だが、これらのことを論じるのであれば、
・確かに医療費は大きな国民負担になっていること
・勤務医よりも開業医に手厚い医療報酬の見直し
などについての記述も必要ではないのかと思った(著者は開業医らしいのでそれは考えたくないのかな)。

また、P164に
「モンスターの増加は、過剰に肥大した顧客意識に、貧困が油を注いでいるからではないのか。さらにいえば、貧困による一種の“打ちこわし行動”ではないのか。」
という記載があるが、ボランティアなどで救急の現場を見た身としては、
低所得者にクレイマーが多いことなどを考えると、その通りなのかもしれないと感じた。