携帯向け配信サイトで好評を博した『痴漢電車日記』の作者、小玉オサムの作品。

　団地そばの川沿いで屋台を営んでいる赤ちょうちんの親父が主人公。
　常連には会社帰りのサラリーマンが多いが、一人、とくべつ身なりのいい紳士がいる。よく酒を飲み、金払いのいい上客で、いつもは無口でろくにしゃべらない。
　ある夜、他に客がいなくなると紳士は屋台のすぐそばで立ちションをしようとする。ドブでやってくれと親父に言われても、珍しくフラフラとして頼りない。仕方なく、親父は紳士が無事立ちションをすませるまで見守ることになる。すると紳士は助平なことを口走る。
　身なりのいい紳士だが、実は以前から赤ちょうちんの親父を狙っていた。冗談じゃないとはねつける親父だが、強引な紳士の手練手管にやがて……。
　初出『サムソン』の短編。