著者の熱意
★★★★★
年代が今に近づいてくるとにわかに著者の文体が熱気を帯びてくる。国民党時代までの台湾史は非常に中庸。特に日本統治時代の記述は平衡の取れたもの。党外から民主活動のくだりは、学者としての平静さと台湾人としての熱き思いがブレンドされていて興味深い。進行中の歴史を描くのは非常に難しいが、時として主観的な文体も小気味よい。読者が鵜呑みしなければの話だが。
台湾の歴史を客観的に描いた必読の書
★★★★★
台湾で生まれ育った筆者が、情熱と愛情を込めた書いた台湾の歴史です。15世紀末以降、現代までが書かれています。日本に関連しては、植民地化初期の苛烈な武断政治や台湾出身日本兵・軍属に対する戦後の処遇など、耳の痛いことも書かれていますが、教育やインフラ面に果たした役割や“法治主義”などは評価しており、公平な記述がなされています。近年の経済の発展や民主化について、多くのことが書かれている。民主化における李登輝の役割をやや詳しく書いている。反李登輝の中国共産党が禁書にしたい本だと思う。
公正さに疑問の残る本
★★☆☆☆
筆者は台湾独立派シンパの台湾人教授。公正さを装うが、極めて意図的な史実の取捨選択と隠匿が行われている。盲信しないことを肝に銘じて読むなら、独立派史観を知る手引きにはなる本。