Black Dagger Brotherhoodシリーズの作者J.R. Waradの堕天使が活躍する新シリーズ1作目です。
最初からシリーズを意識して書かれたもののせいか、導入部的印象が強く、面白い事は面白いのですが、最初から最後まで引きつけられて一気に読んでしまうと言うよりは、物語が進むにつれて徐々に引き込まれて行き、後半になって敵の正体が明らかになったあたりから一気に没頭してしまった感じです。

物語はBDBの舞台であるCaldwell, NYにあるクラブIron Maskから始まります。
BDBとはまったくの別シリーズですが、お馴染みの顔ぶれも何人か登場し、BDBファンを楽しませてくれます。天使と悪魔が人間界の運命を一人の人間の行動に託すことになり、元特殊部隊の工作員で現在身元を偽って大工をしているJimが選ばれてしまいます。建築現場でうっかりコードを引っかけて電気ショックで生死の境を彷徨うことになってしまったJimは天上界で7人の人間の魂を救い、人間界を悪魔の手から守る使命を与えられ、地上に戻されます。

テンポの良い会話、魅力的な登場人物、過去の心の傷を乗り越える愛と信頼を築く過程等、J.R.Wardらしさを感じました。今後ますます堕天使達の活躍も期待される次回作以降が楽しみです。

この作品はTheoに捧げられていますが、TheoはJ.R. Wardが救おうとした子犬です。残念ながらTheoは精一杯の治療と看病、彼女や大勢のファンの祈りにも関わらず、病に打ち勝つ事ができませんでした。TheoについてはJ.R.Wardのホームページから公式BBSに登録すると当時の書き込みを読む事ができます。