この本は、Harvard Business Review の論文をカテゴリーごとに集めたシリーズの一冊であるが、この本は、シリーズの他の本に比べ、かなりテーマが限定されている。また、コーポレートガバナンスを題材にしていることもあり、マーケティングやアカウンティングといった分野などと違い、ここで得られた知識を活かせる立場の人はかなり少ないものと思われる。実際、読んでいてかなり細かい部分の説明が多く、私自身かなり飛ばし読みをした。 ただ、これを読めば、コーポレートガバナンスについては、その大体の部分を理解できることはほぼ間違いなく、大体が網羅されている。また、アメリカのコーポレートガバナンス、特に取締役会について、今、日本が改革していることを、アメリカがいかに変革してきたかについて、深い考察が為されている。
3人の社内取締役に対し、9人の社外取締役が平均的なアメリカ企業の取締役会だそうだが、日本企業もガバナンスの進化を図る上では、アメリカ企業を念頭に置く必要があるのは間違いないようだ。