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さよなら渓谷

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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人間、追い込まれたときにはこうなるのかもなー ★★★★☆
珍しくかっちりとしたミステリー仕立ての恋愛小説。
ゆがんだ関係にある二人は、ゆがんだ行動をとり、ゆがんだ結末を生み出す。
この人たちの行動は理解できないけれども、人間、追い込まれたときにはこうなるのかもなー
ラストは少し希望のある終わり方でよかった。
人間の狂気というか、独特の雰囲気に魅せられて、一気に読めました。
初めて彼の作品を読みました。 ★★☆☆☆
読んでる途中で、だんだん登場人物のつながりが見えてきたのですが、細々した部分が少し私には
現実味がなかったというか、共感できませんでした。
被害者の女性は過去の悲惨な事件を背負いながら、不幸な人生を歩むのですが
そこまで・・・・?ちょっと大げさ?だと思いました。
小説に常に現実味を求めているわけではないし、小説だからそれが成り立たない世界でもいいんだろうけど
私には共感できませんでした。

ただ、ラストの余韻は印象的でしたので二つ星。
罪を償わせるため、どこまでも一緒にいて不幸にさせる。
彼女は彼と幸せになることはできないんですね。切ないです。

せせらぎ郷温泉の情景が浮かんでくるような描写で温泉に行きたくなりました。
“被害者”と“加害者”のふたりにいつまでも残る「傷」 ★★★☆☆
「週刊新潮」に’07年7月から12月まで連載された、純文学畑の作家吉田修一が『悪人』に次いで書いた“犯罪文学”。

はじめは我が子を手にかけた、現実に起こった事件をモデルにした、ある女の幼児殺人事件だったが、この小説のメインテーマはそうではない。この事件はきっかけにすぎず、実際は隣家に住む若夫婦の過去を取材記者が探り当てるところから始まる。その15年前の“事件”が歳月をかけてもいつまでも「傷」として残る“被害者”と“加害者”のふたり。

物語はこのふたりの過去とそれを調べる取材記者のエピソードなどを交えて、意外と静謐に進んでゆく。

次第に明らかになるふたりの関係と真実、そして結末はとても哀しい。「幸せになってはいけない。一緒に不幸になるって約束した」、「幸せになりそうだった」だから・・・。

なるほど“考えさせられる”重苦しいテーマの作品ではあるが、『悪人』でドラマチックに吉田修一が描いた“魂の叫び”みたいなものは感じられず、読後感はスッキリとしなかったし、あまり心が揺さぶられなかった。
入り口まではご案内します。 ★☆☆☆☆
『悪人』の次に、著者がどういう作品を書いたか、興味津々で手に取りました。

が、著者の現在の興味の対象が
読者が求めるものと乖離しているような印象を受けました。

「俗なるものを俗っぽくなく描いてみたい」
というのがこの作品の裏テーマのような気がしましたが、
著者の関心事項がそこに終始しているあまり
“あなたはどう思いますか?”的な
読者にエンディングを委ねるような幕切れに、
どうしても未熟さを感じ取ってしまうのです。

別に『藪の中』的な手法に異を唱えたい訳じゃなく、
(実際に著者の『パレード』も、同様な幕切れではありますが
作品のクオリティとしては今作とは比にならないほど見事だった)
あるテーマ(食材)を料理してこその
作家(料理人)だろう、と思ってしまうのです。

『静かな爆弾』にしてもしかり。
最近、著者にこの傾向が顕著なので、残念です。

なぜなら、読者は常に前作をしのぐクオリティを期待して本を取るのですから。
上質の火曜サスペンス劇場 ★★★☆☆
相変わらずの文章力。淡々としてリアルな描写力に一気に物語世界に引き込まれる。

舞台設定は、畠山鈴香の幼児殺人事件を連想させる。幼児殺人事件の被疑者の隣には、大学時代に集団レイプ事件を起こした男が住んでいる。それを取材する裏ぶれた週刊誌記者。かつては全日本のラグビーメンバーだったが、落ちぶれ女房との関係も冷め切っている。そして、レイプされた女性の数奇な運命。

幼児殺人事件の周囲で、レイプ犯、被害者、週刊誌記者の人生が交錯していく。何かのボタンの掛け違いで運命を転落していく人々がいる。転落した人々の祝福された愛はない、倒錯した愛の世界がある。

欲を言えば切がないが、渡辺淳一のような男女の性愛ばかりを描いた世界があるのだから、吉田修一のような斜に構えた大人の世界の小説があってもいいのかなと感じる。