安物のタイトルだが中身は正攻法
★★★☆☆
タイトルこそ○△ブックス的な安物のノウハウ本のようだが、中身は「嘘とだまし」についての学術的な研究成果を踏まえた、至って正攻法な本である。
「勧誘・悪徳商法の心理的メカニズム」や「無実の自白」「霊長類の嘘・だまし」など興味深いテーマがいくつも盛り込まれているが、中でも小児ガンの病棟で働く現役の医師が担当した第3章は、突然の告知を受けた両親の苦しみと子供への「嘘」、薄々気付いていながら両親を苦しめまいと知らぬ振りをする当の子供の「嘘」、これから起こり得る事の全てを知る医師が苦悩しながらつく「嘘」など、そのリアリティある描写に心が痛む。自分自身がガンに罹ったとしたら、残された時間を最大限有効に使うためにも絶対に告知してもらわないと困るが、もし自分の子供が、と考えるとさてどうしたもんだろう。