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日本経済の成長戦略―ミクロ経済政策からの試論―

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 洞口治夫
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本書は、日本経済の成長戦略にとって有効なミクロ経済学的な理論をもとに、その政策を提言する。従来、ミクロ経済政策としては産業政策、中小企業政策、地域政策が存在した。本書は、イノベーション、公共財、外部性、情報の非対称性というミクロ経済理論に照らして、いかなるミクロ経済政策が可能であるかを論ずる。
 本書の発表を急いだのは、安倍内閣における金融政策に続いて成長戦略の策定が急務だからである。リフレーション政策は短期的な「気分転換」の効果をもつ。デフレ経済下のインフレターゲット論は10年以上前から唱えられてきた。しかし、リフレーションののちに成長戦略に関するシナリオを描けなれば、日本経済はスタグフレーションに陥る。スタグフレーションとは、インフレーションとスタグネーションの合成語であり、インフレのもとでの景気停滞である。インフレになれば通貨価値が下落して円安になる。円安になればガソリン、小麦などの輸入財価格が値上がりし、消費生活を直撃する。輸出企業の収益は好転するかもしれないが、輸入品は割高になる。新聞やテレビといったメディアは、いつでも悲観的なことをまずニュースにするが、悲観的な側面が経済全体を支配しないようにする必要がある。
 第二次安倍政権が自ら認めるように、金融緩和によって実態経済が成長するものではない。資金供給を増やしても、資金を借り入れて事業を行いたいという人々が増えなければ、経済は成長しない。経済が成長しなければ、雇用は増えず、税収は増えない。
 日本経済成長のための戦略的なシナリオを描く必要がある。
 為替レートの誘導では、成長戦略を推進することはできない。成長戦略を主導するのは、内発的なイノベーションを駆動する制度的なシステムづくりであり、そのための公共財供給である。さらに、正の外部性を最大限利用し、情報の非対称性から生まれている非効率を削減しなければならない。つまり、メニュー提示の手がかりとするのは、ミクロ経済学の理論的な分析道具である。公共財、イノベーション、外部性、情報の非対称性というミクロ経済学の分析用具をもとに、日本経済の成長戦略を提言していきたい。それが必要なのは、政府に対する発言力を持つ人々の思考の道具箱には、わずかに規制緩和とTPPしか入っていないように見えるからである。
 本書では、ミクロ経済政策を提言するために、イノベーション、公共財、外部性、情報の非対称性という4つの理論的概念に着目する。これらは財政と金融を二本柱とするマクロ経済政策とは異なる視点を与えており、かつ、二十世紀的なミクロ経済政策である産業政策、中小企業政策、地域政策とも一線を画している。すなわち、補助金ばらまき政策に帰着しない政策立案が可能である。その点は財政破綻に瀕した日本においては、ことさらに重要な論点であると考えられる。
 本書で以下に議論する政策提言は以下にはじまる31項目である。
提言1.クラスター政策の拡充と調整
提言2.産学官連携から産学連携への移行
提言3.省庁横断型・先端産業特区政策の推進
提言4.中央省庁からの人材派遣政策の推進
提言5.東京におけるクラスター形成促進政策の推進
提言6.自転車道路の拡充
これらの提言をはじめとする31の提言は、イノベーション、公共財、外部性、情報の非対称性というミクロ経済学的な視点から生まれたものである。
著者紹介
洞口治夫(ほらぐち・はるお)
現職:法政大学経営学部教授
東京大学大学院博士課程修了・経済学博士
1994年~96年ハーバード大学客員研究員(フルブライト若手研究員プログラム)
1999年リヨン第二大学客員教授
2004年~06年法政大学イノベーション・マネジメント研究センター所長
2012年~13年ワシントン大学客員研究員などを経て現職
著書
『日本企業の海外直接投資』東京大学出版会、1992年6月.
(第35回 日経・経済図書文化賞受賞)
『グローバリズムと日本企業』東京大学出版会、2002年1月.
(第9回 国際ビジネス研究学会賞受賞)
『集合知の経営』文眞堂、2009年10月.