想起しやすいストーリー、ありがちなキャラクターを通じてシンプルな5つの危険な罠を記憶に止めておけば、詳細な解説がむしろないだけに、大切なことを忘れることなく実際の行動に転用できるかもしれない。
チームワークの効果を甘く見てきた向きには(自省)、戒めとして記銘したい。
チームの機能不全は「信頼の欠如→衝突の恐怖→責任感の不足→説明責任の説明→結果への無関心」という段階で進行する。そして機能するチームでは、「面白い」会議が経営の強力なツールとなることが説明されている。企業に関する情報が経営チームに集まるのは当然のことで、その経営チームの「会議力」が向上するれば、経営力は向上するに違いない。
特に面白かったのは、全員一致は最良の選択ではないこと。なぜなら、参加者は自分の意見が結論に至る過程で詳細に検討されていれば満足するからだ(結果的に自分の意見とは違っても)。また「政治的な行動」とは、自分の意見ではなく、他人にどう反応して欲しいかによって、言動を選択すること、と定義しているが、的確な指摘だと思う。
筆者は心理学系の知識が豊富のようで自己史を紹介させたり、MBTI等性格の類型分類が登場する。米国では心理学がビジネスで活用されているのだという一端を見るようで面白い。
CEOと経営チームのやりとりが中心だが、内容自体はすべてのチームに当てはまる。「どうも、私のチームの会議は生産的ではない」と思っているリーダーの方には一読の価値がある。チームのメンバーであってもこの本を読んでおけば、リーダーの狙いが見えてくるはずだ。