もっと早く読んでいればよかった・・・
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山口瞳氏の名前はだいぶ前から知っていたのですが、著作を読んだのは今回が初めてです。
そしてその感想はタイトルの「もっと早く読んでいればよかった・・・。」でした。
氏は勤め先の会社を転々とした後サントリー広告部に入り、開高健とは同僚であったとのこと。それらの経験に基づいて、氏が体得したサラリーマン処世術、人としての生き方について氏一流の筆致で書かれています。
合間には中村うさぎや黒柳徹子、柳井正(ユニクロ創業者)といった方達の文もあり、いろんな意味で楽しめる。
中でも私が一番好きな部分は、池波正太郎氏との対談で、敗戦を機に失われゆく古きよき日本の文化を惜しむ声です。特に日本橋の上に高速道路を掛けたことについて、経済人と政治家の驕りによる「バカな事」と一刀両断しています。私も物心ついて初めて日本橋を見た時に「なんでこんなことするんだろうか?」と思ったので両氏の所見は嬉しかったですね。