堀辰雄の作品26編を一冊の電子書籍にまとめました。代表作の『菜穂子』をはじめとして「風立ちぬ」「聖家族」「美しい村」「大和路・信濃路」など主要な作品がほぼ網羅されています。全作品に新字・新仮名づかいを採用、目次つきです。
コクトーやラディゲ、プルースト、ジョイスなどのヨーロッパ文学の影響を受け、またそこから培われた素養をもって日本の王朝文学を再発見したのが堀辰雄でした。フランス心理小説への親炙が、彼を「かげろふ日記」などの「古典」に向わせました。堀辰雄はそこに閉じられた「国文学」ではなく、世界文学の伝統を見ていたのです。この堀の文学が、中村真一郎や福永武彦ら「マチネ・ポエティク」の流れの戦後文学を用意しました。
収録作品は以下のとおりです。

「菜穂子」「ルウベンスの偽画」「聖家族」「恢復期」「燃ゆる頬」「麦藁帽子」「美しい村」「旅の絵」「三つの挿話」「鳥料理」「風立ちぬ」「幼年時代」「かげろうの日記」「ほととぎす」「木の十字架」「姨捨」「晩夏」「朴の咲く頃」「曠野」「花を持てる女」「大和路・信濃路」「雪の上の足跡」「雉子日記」「あいびき」「窓」「卜居」