超意識の内容については、当代では、ケン・ウィルバー　の独壇場　であることは疑いがない。そのための実践の方法について、 ケン・ウィルバー　とその協力者とで、霊性的覚醒への生活習慣として提示しており、影、体、心、霊　の各側面での瞑想を通した克服と向上を目指している。簡単な方法として、それぞれの一分間瞑想も例示していて、試してみるのが容易である。
とくに、1.2.3 of　God　瞑想は、意識が、高揚する感じがあり、毎朝の仕事前の日課とするのには最適なように思う。それに、称名念仏（なもあみだぶつ）は、1.2.3　 of 　Ｇｏｄ　を一言で表わした表現であると理解できて、仏教の偉大な伝統にあらためて気づかされた。
ただし、影　が加わるのは、依然としてケン・ウィルバーが西洋心理学の桎梏から免れていないのかと残念に思う。
この著書では、微細領域を経ずに元因や観照者へと向かう瞑想が示されており、微細　から、元因領域　へは、直線的に向上するのではなく、それぞれ、異なった意識状態であると訂正する事を期待している。また、霊性の向上での、元因、観照者、非二元　の三者の区分が不明で、瞑想でどこを目指しているのかよく分らないことがある。
その上で、近代西洋合理主義的理性を、宗教上の信心の代わりの拠り所としているという限界ゆえに、記述がくどく、読み進めるとともに、霊性が削がれていく気がしないでもない。
現実生活で、この著書の内容を、生活習慣にするのは、ちょっと・・・・という気がします。