それはそれとして、世界の動向を眺めつつの相対的な日本の軍備への意見は、傾聴するに値することであると思います。特に、効率への言及は、専守防衛と言いながら、必ずしもそのために努力を集中しているとは言い難い自衛隊の現実を抉り出し、その行き当たりばったり、総花的装備の非効率の一つ一つの具体例が書かれています。それ見ているとなにやら日本の縮図を見ているようで、虚しくなりますが、本書が勤めて兵器だけの問題に止まろうとしているのが、良い意味で発揮されて、その指摘はとても鋭いものとなっています。また、現代の兵器全体についての詳しい解説があり、最新の戦闘方法からその開発までを含んだ、立体的、総合的な軍備理解の基礎知識を提供してくれます。現実的にこれからの軍備を考える際にはこれらの知識はとても有用であると思います。
今まであまりにも軽んじられてきた、現実問題としての国防に、在野の専門家が意見を述べることはすばらしいことであると思います。自衛隊について地に足のついた話をするためにも本書は参考になるものです。ちなみに、出てくる自衛隊の編成や兵器の基礎知識は本書ではほとんど説明されておらず、よく分かりません、そんな知識を得るために、私は学研の自衛隊パーフェクトガイドシリーズが詳しく、自衛隊に関する基礎知識のない方には、始めに一読されると良いと思います。