「絵画史料」のおもしろさ
★★★★★
歴史分野を専門に学んでいる人も、そうでない人も非常に興味深く読める本だと思います。
タイトルのとおり、全体としてのテーマは「絵画作品を『史料』としてとらえ、歴史情報を読み取っていく」こと、その方法と意味―絵画史料論―です。平たく言えば「絵画作品を通じてむかしの人たちの意識や考え方、社会のありさまを見ようとすること」でしょうか。
各章では具体的に作品をとりあげ、そこから読み取れる情報について論じています。とりあげられている作品は中・近世史の中ではわりあいメジャーなものですが、各作品についての基本情報も丁寧に説明されています。
ですから「作品名だけ言われてもぴんと来ない。これからいろいろ勉強したいんだけど…」という人でも読みながら、どのような作品が検討されているのか理解できます。
「作品を通して、その時代を感じることはこんなに面白いことなのか」と感じさせてくれます。