紙面でも理路整然とスムーズに講義を展開
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第二章の確率測度では、σ加法性から始まり、Borel集合族と、積σ加法族が演習形式で紹介されながら読者の思考養成を促してくれます。また、確率測度の拡張定理の項では、Dykin族定理と確率測度の定理と、それぞれの証明がスムーズに展開されていおり、ここでBorel確率密度と正則確率密度の違いが単純明快に説明されています。Caratheodoryの定理、確率測度の拡張定理もスムーズな証明で理解しやすい内容となっています。改めてBorel確率密度と正則確率密度から分布関数を経てLebesgue-Stieltjes測度を定義し、密度が濃い解説がなされています。実解析の測度論の学習にも大変良い参考にもなり、第五章の確率過程においてもGauss系、Wiener過程、Poisson配置などが、他書のゴタゴタした記述に比べ、驚く程スムーズに展開されています。流石、確率論において完全にご自分の世界を創り出した伊藤先生ならではの著作といえます。
本当は,星6つにしたい
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これまでも,確率論や確率過程論の本を何冊か手にとって,「使って」きました.知人の数学者から,「伊藤先生の本は,わかりやすいよ」と言われて,遅まきながら最初から酔狂に読み出したら・・・
確率論の面白さ,深さが,初めて理解できたという不思議な感覚にとらわれました.特に5章は圧巻の一言.
岩波の基礎数学のシリーズの分冊をまとめて単行本にしたもので,最初に出されてから年数が経っていて,今風の数学の教科書の書き方になれた目からは,若干の違和感もあるのですが,記述の素晴らしさに,とにかく圧倒されます.自分が理解していたことがいかに表面的だったかを,思い知らされました.
知人の数学者が言うような「わかりやすい」本とは思いませんが,教えてもらえる内容が半端ではないです.私には,奇跡の書物に思えました.登山のガイドを例にとっていえば,頂上まで最小の労力で登れるようなガイドをする,そんな教科書ではないです.山全体を理解し楽しませた上で,頂上まで連れていってくれる(ただし,余分な体力も必要)登山ガイド,そんな教科書です.
星6つを個人的につけたいです.
祝復刊!第一回ガウス賞受賞数学者の確率論
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最近の数理ファイナンスの影響もあって、確率論の教科書があらゆる立場の研究者によって
書かれています。しかし、本格的な伊藤解析の勉強を始めるにあたっては、その創始者の伊藤先生の
本(これまで絶版でした)で勉強したいと考えていました。
本を読み始めて気付くことは、的を得た証明方針をとっていること、そして、
高度なことを出来るだけ易しく伝えようとする語り口に感動します。
世界で最も確率論を理解している先生だからこそ出来る、神技です。
伊藤先生の本
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伊藤の公式で有名な伊藤清先生の書かれた本「確率論」現代の言葉で編集しなおした本です。
この本で勉強したい、という理由だけでなく「座右の書」としても是非お勧めします。