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ベトナム戦争―誤算と誤解の戦場 (中公新書)

価格: ¥945
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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非常に精緻 ★★★★★
 これでもかというほど精細にベトナム戦争の経過をたどっています。

 ベトナムと同時に、米国やソ連、中国、他のインドシナ国家の歴史も追えるくらい、本書のカバーする範囲は広いので、多様な視点から現代史が学べると思います。

 時系列が錯綜しているので、読みにくさを感じる人もいるでしょうが、年表片手にじっくり読むなら、趣があって良いと思います。ただ、一般教養として知識を得たい人にとっては、すこしつらいかも…

 個人的には、筆者の誠意と努力が集約されている超良書。誰も5点をつけないので、僕がつけます。
論旨鮮明! ★★★☆☆
 本書は時間軸に沿ってベトナム戦争における出来事をたどっていったものではない。六つの章にわかれており、それぞれの章を通して異なった(だが密接にからみあった)視点からベトナム戦争が描かれている。
 そのような形式をとることによって、ベトナム戦争に関してあまり知識がない私のような者には、ところどころ理解しづらいところがあるのは事実である。しかし、本書はそのような形式をとることによって論旨はむしろ極めて鮮明になっており、少なくとも筆者の言いたいことが何なのかはきわめて容易に理解できる。
 他のベトナム戦争の通史のようなものと併読することにより、本書はよりよく理解できるであろう。また、本書の続編ともいえる「ベトナム症候群」もオススメである。
この戦争の全体像をとらえる ★★★★☆
ベトナム戦争の時代に少年だった私は同時代人のはずである。だが私は、悲惨な戦争、米国対共産主義としかこの戦争を語る言葉を持たなかった。そして驚くべきことにこの戦争の全体像をとらえるのに適した本がきわめて少ないのだ。米国で出版されたベストセラーは米国国内で当事者がどのように立ち向かったかしか書かれていないし、現場は現場の悲惨な戦争の姿しか描いていないのだ。客観的に全体像が知りたい、そんな要求に答えてくれる1冊である。ただ、よみにくいのだ。その原因は多義的な文脈にとらわれるあまり、時間軸を無視していることが原因ではないかと思っている。
悪文、編集不在 ★★★☆☆
この種の本に文体を求めるのは筋違いとは思いつつも、悪文といわざるをえない。「~た。」でおわる短い文章の連続。加えて時間軸がはっきりせず、
読み通すのに非常に労力を必要とする。編集者の責任も重い。
とはいえ、手軽に入手できる同種の本は無く、貴重な一冊といえよう。
イラク戦争後の今、本書を読む意義は高い。
錯綜するベトナム戦争の様相を鳥瞰 ★★★★☆
ベトナム戦争は全貌を把握しにくい。広く「インドシナ戦争」と捉えるといつ戦争が始まったのか、いつ終わったのか分からないからである。ベトナムは植民地時代にフランスと戦い、大戦ではホー・チ・ミン率いる解放勢力が「進駐」してきた日本軍と戦い、戦後戻ってきたフランスを追っ払うと、あのアメリカ軍がやってきた。また歴史的に中国の圧力があり、また戦線は常にラオス、カンボジアなどの周辺諸国に波及した。それに加えて、ベトナム内部の各勢力の対立がある。北の共産主義政権と南の資本主義政権の対立はいうに及ばず、共産勢力でもハノイを中心とする北ベトナムと南のメコン・デルタ地域を中心に活動するゲリラ勢力の主導権争いが常に存在した。結局サイゴン陥落とともにハノイの政権が全ベトナ㡊??を支配することになった…。

このようにベトナム戦争自体錯綜としたものであるので、本書自体も構成が錯綜しているが、それをこの本の欠点と捉えるべきではないだろう。読み通すのに忍耐を要するが、事実関係を丹念に追った記述は貴重というべきである。