仏像鑑賞を豊かにするために
★★★★☆
仏像ブームだそうです。東博での阿修羅展がその火付け役になったようで、仏さまに癒されたい、というのは、いつの時代も共通の思いのようです。
博物館での鑑賞の際は説明書きがあるので鎮座されている仏様の意味合いは分かりますが、寺院等で説明のないまま拝む場合に、本書の知識は必須のものでしょう。仏様を写真と解説で丁寧に紹介してあり、大判ですし、半分のページがカラーですから見やすいですね。
如来とは、では5つの種類を示しています。法隆寺にある釈迦如来は実在の人物の釈迦を表したものです。広隆寺の阿弥陀如来は四十八願を立て修行した如来です。薬師寺の薬師如来は万病平癒の仏様です。東大寺の大仏は盧舎那仏の代表でしょう。教王護国寺の大日如来は密教世界の根源的な仏様です。文章で読むよりもその違いを写真で確かめるのが一番理解できると思います。
菩薩の項目では、観音菩薩、十一面観音、千手観音、不空羂索観音、如意輪観音、馬頭観音、准胝観音、弥勒菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、日光・月光菩薩、虚空蔵菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩などが説明されています。美しい写真(代表的な仏様の姿を示しているもの)は、文字で読むよりずっと具体的に直観的に仏様の差異を捉える事ができます。
その他、明王、天部、羅漢、祖師などの説明があり、これらの知識は美術鑑賞や寺院拝観の時の助けになるでしょう。
見分け方として、「頭部で知る」、「目・口で知る」、「手の形(印相)で知る」、「持っているもので知る」、「着衣で知る」、「足と坐り方で知る」、「台座で知る」、「光背で知る」、なども掲載してあり、本書所収の仏様と実際に対面を果たした時、その感動はまた格別のものがあると思います。