SARSの封じ込めで、大学、日本の対応に幻滅した主人公は、致死率50％というパンデミックフルーに遭遇した際、直接ＣＤＣの長官へ連絡。米大統領はＣＤＣ長官の意見にしたがい、日本封鎖を勧告。それを受けても、なにも決断できない日本の首脳陣。主人公の開発した、保護ウイルスという手段を使う、許可はおりない。小説で描き出される世界が、09年5月日本のインフルエンザ水際対策（世界の笑い物）を思い出させ、あまりにリアル。最近、岡井崇氏のノーフォールト（ギネの原作）、海棠尊氏のバチスタシリーズのように、医師が自分の意見を世間に示すために、小説を書かれることが多いが、そのようななかでも秀作と思われる。厚労省のかたがたも、新政権もこの本をよんで、餅は餅屋だと悟って、危機管理につき専門家の意見を迅速に反映できるシステムを考慮していただきたい。