カリスマ体育教師の常勝教育
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「究極の荒れた学校」とまで言われた大阪市立松虫中学校に赴任し、学校再生のため、「陸上部の子どもたちを2年後に日本一にする」と宣言して実現させた体育教師がいる。原田隆史だ。赴任後7年の間に、陸上競技の個人種目で13回の日本一を達成するなど輝かしい実績を残し、「松虫の奇跡」と驚嘆された。だがそれは、「奇跡ではない」と原田は言ってのける。どうしてそのようなことが可能となったのか。その指導法を明らかにしたのが本書だ。
原田は生徒たちを変えるため、経営者の勉強会でマネジメントの発想を学ぶとともに、強い選手の徹底研究を行った。その結果、成功者に共通しているのは強い勝利意識と高い目標設定であり、強い選手ほど「心」を大切にしていることを知る。そこで、心づくりの指導として、靴をそろえる、挨拶(あいさつ)するなどの「態度教育」と、独自の長期目標設定用紙を使った「目標設定」を実践した。紙に書き込むことで目標を鮮明にし、態度教育で心を磨き、継続によって心を強くし、日誌を書いて心を整理する――。心を鍛えて、他人に頼らない「自立型人間」を育てていく原田メソッドは、子どもの教育やしつけに自信を失っている教師や親に、いま何が大切かを教えてくれる。
経営ノウハウを取り入れた原田隆史の教育法は、ベンチャー企業経営者にも高く評価されているという。教育関係者だけでなく、企業の経営者や人材育成を担っている担当者、自己を高めたい社会人も一読の価値は十分ある。(清水英孝)