それぞれのデザイナーの「いいとこ取り」をすることができる。巫女さんのようになって内容に応じたデザインを決めていく方法もあれば、キャラクターというシステムをつくって、軌道に乗せていく方法もある。これからデザイナーを目指す方にとっては、作業のヒントをたくさん見つけることができるだろう。
登場するデザイナーが全部で4組というのはちょっと物足りない気もするけれど、とことん細部までこだわる人や、クールな作品を生み出す人、いつも小ギレイなモノを量産する集団や、手作りの風合いを大切にしている2人組など、デザインの趣向がまんべんなく散らばっているので、本の内容全体のバランスがいい具合になっている。
この本を買ったきっかけは、もともとクラフト・エヴィング商會の本が好きで、そのインタビューを読みたかったから。その他の人々については、名前は聞いたことがある気がする」という程度の認識であった。しかし、巻頭に掲載されている各氏の作品を見て、「おお、これをつくった人なのか!」と何度も思い、一気に登場するすべての人に興味が出てきた。
インタビューは、非常に興味深かった。自分がなんからの作品を見るときに、「つくっている人はこんなことを考えていたのか」という、いわゆる舞台裏がわかり、これまで以上にみる楡?しみが広がりそうである。
また、自分自身が個人でなにかをつくる際に、デザインについて参考になる点も多かった。
グラフィック・デザインを勉強している人はもちろん、そうでない人にも楽しめて、勉強になる部分が多い本。