狂い咲き戦争処女と国死病(1)
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「あたしのために死ね!」
にこやかに狂い咲いた戦争処女が、壇上で兵を見渡し、下命する。
くたびれた不揃いの軍服の一群が、その命令に見事な敬礼で応える。
一歩前へ。
孤児部隊による、子どもたちのための楽園を掴み取るために、汚れた軍靴が一斉に踏み出される。恐るべき子どもたちは銃を執り、機関部を点検し、薬室に弾薬を送り込み、幼い顔に似合わぬ低く響く声で一斉に斉唱する。
「我らこそ、戦争にふさわしい!」
すると、狂い咲いた戦争少女は処女よりも清らかな笑みを浮かべ、満足そうに隣に控える少年兵にこう告げる。
「そうよ。あたし、戦争って大好きなの」
そんな彼女を守るように控えていた少年兵は、無垢な子どもの微笑に似つかわしくない血濡れの銃剣を握りながら、空いている手で、かすかに震える戦争処女の手を握る。冷たい彼女の手は、暖かさを求めるように、強く、キツく、狂おしく少年の手を握り返してくる。
ちっぽけな子どもたちによる地獄色ダークファンタジー、いよいよ始動。