箱の発明ではなく、「箱の運用」の発明とサブタイトルはすべきだったかな
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コンテナは単なる箱でも、ものを入れて運ぶためのものでもない。
コンテナとは、すなわち物流システムそのものだ、と強く実感させてもらえる良書。
一度図書館で借りて読んだのに、内容がマーベラスでブリリアントだったので蔵書に加えるためにわざわざ買いなおした。
私の好きな言葉に、テッド・ネルソンの「グーテンベルクが世界を変えたのではない。アルダスが世界を変えたのだ。」という言葉がある。
テッド・ネルソンについては語りだすと止まらないが、ハイパーテキストという概念の発明者であり、今のインターネットというのはネルソンのアイデアをはるかに矮小化したものでしかないといえば凄さが分かるかと思。
ネルソンのこのコメントは、20年ぐらい前に月間ASCIIのインタビューで読んだ
もので、当時のASCIIはだいぶ前に処分してしまったのでうろ覚えだが。
概略以下のような内容だったと記憶する。
「グーテンベルクによって世界が変わったわけではない。
グーテンベルク以前には、金持ちの家と教会に筆写された本があった。
グーテンベルク以降には、金持ちの家と教会に印刷された本があった。
世界が変わったのは、アルダスが本の大量印刷を始めてからだ。
アルダスによって、金持ちの家と教会以外にも、本が普及した」
彼の言いたいことは、技術を発明することよりも、技術をどう利用するかが大事なんだということだと思う。
コンテナという物は、19世紀からあったものだった。
多くの輸送業者はコンテナを単なる箱としか見ていなかったのに、
本書の主要キャラであるマルコム・マクリーンは、コンテナを物流システムそのものである【コンテナ】として認識し、海上・陸上すべてをコンテナでシームレスに輸送し続けるという方式を考え出し物流システムそのものの変革に成功した。
マルコム・マクリーンの会社はオイルショックの影響で倒産しているが、そのことと彼の為し得たことは別に評価しなければいけないと思う。
読んでみて感じるのは、こういう人物への評価が日本ではほとんど顧みられていないことが日本の構造的不況につながっているのではないかとすら思う。
発明することが偉大なのではない、それを利用することが大事なのだという認識が日本産業では欠けているのではないか。
蛇足として言うなら、同じように利用の仕方の例としてはホンダの社長(≠経営者ではない、技術者)である本田宗一郎もすごいが、それと同じぐらいにホンダの経営者(≠社長)である藤沢武夫がすごいと知っている日本人なんて、100人に1人未満かな。
シュンペーターの「新結合」の代表
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箱+トラック+船+規格化=コンテナ。既存の技術を集めた
だけで、物流に革命を起こした起業家マルコムマクリーン。
経済学者シュンペーターの主張通り、新結合こそが経済を発展
させる鍵なのだと実感します。しかしこの単純な構想を実現
するには、あらゆる困難が待っていた・・。
個人のひらめきと実行力が世界を一変させた痛快な一冊。
縁の下の力持ち
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とかく「物流」というのは地味な存在だ。
食品、電気製品、衣料品、医薬品、家具調度品、などなど。
とかく世の中に出回っているもので物流のお世話になっていないものはない。
そもそも私たち消費者がアマゾンドットコムに注文した書籍やDVDを受け取る時でさえ「物流」を意識することはほとんどない。
注文した商品がいつ手元に届くのか配達のお兄さんや郵便ポストだけが気になるくらいではないだろうか。
それほど地味な存在だが、「水道」「電気」「ガス」「公共交通」と同じぐらい大切な社会基盤なのだ。
その中でも「コンテナ」の存在は重要だ。
これまでも、そんなこと分かってはいたのだが、なんといっても地味な物流アイテムとして存在しているため、ほとんど気にも留めていなかった。
しかし本書を読んでみると、第2次世界大戦後にコンテナがもたらした人々への恩恵は計り知れないことが分かるのだ。
そして、そのコンテナ運送のシステムを生み出したのが官の力ではなく、民の力であったことを知るに及び、驚きをさらに大きくするのだった。
関西で生まれ育った私には、できたばかりの阪神高速道路神戸線から眺められた無数の艀が、いつの間にか消えてしまった時期と、本書に記されていたコンテナ普及の歴史とピッタリと符合して面白かったし、街中を走る「EVERGREEN」と書かれた緑色の海上コンテナがなんであるのか謎が解けて、これまた面白かった。
コンテナという地味な存在にスポットライトを当てた「物流歴史本」。
非常に面白いし、ためになる一冊だった。
ただひとつ欠点を上げるなら、価格がちと高い、ということろだろうか(笑)。
貿易に関わる方必読書
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貿易の仕事をし始めて420日ほどたつが、この一冊ほど勉強になった本はない。
特殊な貨物以外の殆どがコンテナに詰まれて輸送される世の中。あまりに多すぎる数に
実務に忙殺される。
この本は陸運業者・船会社・乙仲etc...が何を考えてビジネスをしているのか
そにて何が重要視されているのかが明瞭に理解する事ができる。そしてこの業界に
携わるものなら、マルコムのような人物がいて、非常に保守的な運輸業界に
革命をもたらしたという事実は忘れてはいけない。
またそうしてゆかなくてはいけない。自己啓発にはもってこいの本だと思います。
今読まないといけない内容
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アメリカの元気な時代を反映するかのような企業化精神と、モノをばんばん輸送すれば良いという、20世紀末から現在にかけての一つの世界の流れを描いている。
日本も港湾の面で、中国などアジアの中での地位を落としている中で今後どうなっていくのか、環境問題を考えれば今後どのようなことが可能なのか、北海航路などは今後どうなるかなど、色々考える時に、今のこの仕組みをどういうふうに変えることが出来るのか考えながら、若い人にも読んでもらいたい。