主人公は僕だった コレクターズ・エディション [DVD]
価格: ¥3,990
国税庁に勤めるハロルドは、ある日突然、自分にしか聞こえない女性の声に悩まされる。その声は、彼の行動をことごとく予告。じつはハロルドは小説の主人公で、声の主は作家だったという奇想天外な設定の物語だ。小説の最後に死ぬことが決まっているハロルドが、何とか結末を変えてもらおうと、作家に直談判に行く。状況はさらにややこしくなり…。現実と非現実が交わってしまう映画は多いが、本作ほど、その境界が曖昧になっている作品は少ないだろう。
コメディを得意とするウィル・フェレルが、ここでは抑えに抑えた演技を徹底。歯ブラシを動かす回数や、通勤で乗るバスの時間など、ことごとく「数字」や「回数」にこだわるハロルドの日常(ここは映像もユニーク!)を哀愁たっぷりに演じ、正統派コメディとは別種の笑いを誘うことに成功。人生に冷めていた主人公が、死を覚悟したときに初めて愛を知るのだが、その想いが切なさを増すのは、相手役マギー・ギレンホールの温かな演技のたまものでもある。冒頭からやたらと登場する、一見、無関係な人々が結びつくラストでは、不思議な感動の後味が残される。(斉藤博昭)