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4つのノーベル賞―発想の源泉・努力の軌跡

価格: ¥1,050
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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分かりやすく行き届いた描写 ★★★★★
2008年ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士、化学賞を受賞した下村修博士の4方について、ノーベル賞までの道のりや生い立ちを語っている本です。

日本人科学者4名が同時にノーベル賞を受賞したということで色々な解説本などが出ましたが、この本はNHKの特番が下地にあるので、非常に分かりやすく解説されています。かといって手抜きがされているわけではなく小林−益川理論については高エネルギー研究所の果たした役割にも触れられており、日本の科学の総合力で獲得したノーベル賞であることがちゃんと描かれています。ノーベル賞に浮かれているだけの書物とはちょっと異なる感じですね。

南部陽一郎先生は30年くらい前から非常に有名な方でしたが、本書を読んでその物腰や学問への姿勢や視点が湯川秀樹博士に似ている印象を得ました。南部陽一郎先生を第三者が語る書物が少ないので、これは新たな印象でした。
またこの本で新たに得られたものとして、名古屋大学理学部の研究風土が自由闊達を基本理念に据えている様子がうかがえ、それが個人の才能を開花させているさまは京都大学との類似を感じました。特に小林・益川両博士の出身であるE研については、京都大学出身の坂田博士の影響が大きいのでしょうね。

先に述べたように、非常に分かりやすいながらも行き届いた描写を感じる本ですので、未来の科学を担う中学生・高校生に是非読んで欲しい一冊だと思います。
内容が深くないけど、入門にはいいかも ★★★☆☆
 個人的には、子供を教育する上で、参考になるかと思って読みました。


 この本の特徴は、NHK番組を本にしたもので、内容がそれほど深くないことです。


 もう少し掘り下げてくれたらと思いました。


 ただ、名古屋大学の雰囲気だけはよく伝わってきて、ドアを開けっ放しにして、いつでもだれでも議論に加われるようなアカデミックな雰囲気にしていたところなんかはおもしろかったです。


 好奇心を純粋に育ててあげることが大切だそうです。
良くも悪くもテレビ的 ★★★☆☆
●NHKノーベル賞特番の書籍化。番組には盛り込めなかったエピソードなども含めて活字に残しておきたかったというNHKの思いが感じられる。

●内容は、良くも悪くもテレビ的。ルポルタージュ風で、誰にでも分かりやすく飽きさせない。そのぶん、受賞者らが「何を発見したのか」についてはあいまいだが(たとえ話が多すぎる)、「どんなにスゴい発見をしたのか」だけは伝わってくる。

●そして最後に「勇気を持って精一杯前進することの大切さ」(P198)なんていうお安いメッセージで締めくくるあたりは、いかにもNHK。

●クォークもGFPもチンプンカンプンだが、彼らがどんな「スゴい」発見をしたのか知りたい人、彼らの素顔に興味津々の人にはお勧めしたい。そこから、科学へのより深い関心が広がって行くことを期待しつつ。
4氏の人柄が分かりやすく伝わる ★★★★☆
2008年度のノーベル章を授賞されたご存知4氏の来歴などを辿った一書。叙述は平易であり印象的な写真も多く、面白く読めた。

「何かの研究が発展するためには、ある程度議論の密度が濃くないといけない」(156頁、宮沢弘成博士の言葉より)。
「未来が見えづらく目標を失いがちないま、勇気をもって精一杯前進することの大切さに気づかせてくれる受賞者たちのメッセージが、私たちの胸を打つのだと思います」(198頁、本書あとがきより)。

本書を通じ、4氏のここまでの道のりが決して平坦なものではなかったことがよく理解できた。苦難をいかに乗り越えるか、俗な云い方ではあるが正にそのときその人間の真価が問われるということであろう。

2008年ノーベル賞受賞者4人の"人となり"に迫る特別番組の書籍化 ★★★★★
2009年の正月休みに「もっと知りたいノーベル賞 小林さん益川さんにとことんQ」(2009/1/5 NHK総合)という特別番組が放送されました。4人のノーベル賞受賞者(南部先生、小林先生、益川先生、下村先生)の若い研究者時代の知られざるドラマや現代の若者へのメッセージが詰まった内容で、ご覧になった視聴者もたくさんいらっしゃると思います。(本レビュアーもその一人) 実は番組の73分という枠には収まりきらない内容が多々あったそうで、放送では泣く泣くカットした内容もあったとのことです。そこで、番組では紹介しきれなかった内容を形にするべく、この番組の取材を下敷きにして書籍化されたのが本書です。

個性が全く異なる4人ですが、自然現象を見つめる目("心眼")の真剣さが伝わってくる内容でした。「独創的な仕事を残すにはどうしたら良いか?」という"ズルい問い"に対する回答が良いですね。難題に対して出来ることはあらゆる方法を試し 色々と努力した結果がたまたま独創的だっただけである、という答えが共通しているのが興味深いですね。特に「独創性を備えている人から独創的な答えが出てくるのではなく、柔軟な思考と広い知識から"最適解"を求めた結果が独創的だったということもある」という主旨の益川先生のメッセージは研究者の卵に勇気を与えてくれますね。"努力の量"が"研究の質"に転じることを信じなさい(もし研究の質が高まってないなら まだ努力が足りないのだと自覚しなさい)という話でもありますが… (^-^);; (特に下村先生のコメントはそう読めます)

自然現象では その背後にある"目には見えないモノ"が本質的であり、そんな目に見えないモノを捉えるためには"心眼"を磨かなくてはいけない訳ですが、本書はそんな"心眼の磨き方"を教えてくれる内容でした。NHK取材班の皆さん、( ^ー゚)b Good job ♪
【追記】「クラゲの光に魅せられて」「いっしょに考えてみようや」とも読み比べましたが、本書の方が面白かったかな。