家庭という密室で行われる家庭内暴力。新聞でも日常茶飯事のようにとりあげられる問題だが、改めてその残酷さを考えさせられた。自分にとって一番の理解者であり庇護者である親、その親からことあるごとに傷つけられ、とうとう最後には見捨てられるガブリエラ。その彼女の心の痛みをどれだけ受け止められたかはわからないが、今回もまたダニエル・スティールの筆力に負かされてしまった。「Home」の意味を改めて深く考えさせられる機会を、この物語は与えてくれた。
ダニエル・スティールって、本当に幸せの絶頂からヒロインを蹴落とすパターンが多いなあ、と思いつつもヒロインに感情移入してしまって、そりゃないよ!と叫んでしまった。それでも彼女が描くヒロインは絶対にくじけない。どんな時も前を向いてまっすぐに生き続ける。そんな強いヒロインに憧れて、ダニエル・スティールの作品が好まれているのだろう。
今回もストーリーの運びは「ああ、ダニエル・スティールらしいな」の一言に尽きる。タイトルにある「家」とは何なのか、おおいに考えさせられた。