肩甲骨へのこだわり
★★★★☆
作家は人体デッサンにおける肩甲骨へのこだわりを持っている。それは本質をついてい正解です。外国の著述では、何人かの画家が肩甲骨の動きに関しての記述がみられるが、ひるがえって日本は美術用解剖学というものが、稚拙で画家でも、むしろ画家はちょっと横目で見る程度,裸婦デッサンをモデルをモデルつかって描くが、骨、筋肉に対して造形が低い。従って作家が描くタブローの多くは写真にもとずき、トレスするカンプとか看板絵に相似したものに成りやすい。つまり解剖学ほ理解するのに、難解でいわゆる筋肉の位置を把握しても、その筋肉は弛緩、収縮されると、形状、ボリュームは変化してゆきそれが人体を視線で捉えた時、無限の変化をし、基本的には理解不可能な世界なのだ。したがってレオナルドダヴィンチが喝破したように、芸術での至上は絵画ということなのか。もちろん絵画はフォルム、ヴォリュームだけでなく、真摯な精神性、色彩、ハーモニー、マチェールそのほか、付加されるものがあるが。それほど奥深い世界のようだです。昔ぼくもアニメの原動画を描いていた経験があって、人体を動かす必然性から、当時ジャック・ハムの洋書5,6年がかりで翻訳していた。まったく辞書をひきひきの、時間の浪費作業だった。解剖の本は日本ではソレだけ1冊ジャック・ハムのみだった。笑い話だが翻訳をほぼ終えた時、その翻訳本が日本で刊行された。翻訳されたものを改めて、購入自分の訳と比べたものだ。話題を戻します。肩甲骨の表現に力をおいているこのテキストは、それだけ力量のある作家が著した書といえます。
アニメーターをめざす人には絶対お勧めです。
★★★★★
もう20年ちかくアニメの仕事をしていますが、この本ほど絵作りのツボをきちんと活字にしてくれた本は見たことがありません。特に画面構成に関しては、いままで漠然と知っていたことが、具体的に言葉と絵になって表現されているのには驚きです。趣味で絵を描いている人はあまり必要ないかもしれませんが、プロとして仕事をしていきたい人にはぜひとも知っておいて欲しい内容です。
私がアニメーターを始めたのは名作劇場の作画を請け負っていたスタジオで、当時、ベテランのアニメーターの方に「パースを直線で取っている時は、広角の絵は描けないよ」と教えていただきました。広角の画面というのはパースを湾曲してはじめて描けるもので、直線で描く以上は(この本にも書いてあったかと思いますが)カメラから離れたところにあるものとして描かないと成立しません。この「カメラから離れたところにあるものとして描く」というのが、自然な感触の絵を描くときに非情に重要な要素なのです。筋肉に関しても、確かにアニメ業界にも筋肉の上手い人はいますが、この人ほど、動きのメカニズムを理解している人はいないのではないでしょうか。
マンガ向きでない本
★★★★☆
知識 ★★★
先進性 ★★★★★
普遍性 ★★★
わかりやすさ ★★★★
面白さ ★★★★
値段 ★★
企画 ★
マンガ向きでない本を
漫画の教科書シリーズにしてしまった残念な本。
いい事書いてるんだけれどなあ・・・
映像派向け。おばさんの顔は×
選択肢としてのレンズの使い分け
★★★★★
マンガ描き初心者で、背景カタログを購入しようと本屋に行ってこの本をみつけました。今まで単純に背景をつければそれっぽくなるものと思っていたのですが、この本が解説するカメラ位置とレンズの話を読み目からウロコが落ちる思いでした。
自分の絵がどうしてドラマチックに見えなかったのか、ためしに過去に描いた自分のマンガから何コマか抜粋して望遠で撮影した風に描き直してみました。多くの人がやっていることと思いますが、手前の人物を大きく描けば迫力や臨場感が出ると完全に思い込んでいましたが、実際自分の絵で比較してみると、それが単なる勘違いであったことがわかりました。
ただ、マンガの場合望遠で撮ったようなコマばかりが続くと全体がわかりにくいし、ページ全体に圧迫感が出て鬱陶しい画面になってしまうのではないかと思います。レンズを使い分ける、こういう表現の可能性もあるんだということを知った上で自分なりに選択していく手助けになると思います。色々な方法を知ることは、描き手にとって決して損にはならないのではないでしょうか。
高度な内容だけど、説明下手
★★★★☆
A・ルーミスに劣らないほど、高度な内容を詰め込んでいます。
アニメーター視点であるが故に映画的な見せ方にこだわっています。
しかし、説明がうまく読者に伝わるようになっていないため、
誤解を招き易くしている感じがします。
「ダメな絵」と「正しい絵」を並べたら、
どちらが見栄えが良いのかはなんとなく分かりますが、
うまく言葉にならないもどかしさもあります。
また、どうやったら「正しい絵」を描けるのかという
方法論が抜けているため、より難解なものにしてしまってます。
(カスタマーイメージをご参照願います)
人物の描き方にしても画面構成にしても、
内容は真っ当であると思えます。
理解できるか、描いて示せるかというところが微妙。
星4つ弱かな。
(ここからは推測です)
想定読者は前書きを拝読する限り、
普段から観察、創意工夫を怠らず描きまくっている、
ある意味、プロ意識を燃やす金の卵たちでしょう。
説明があまり記述されていないのは、
手取り足取りの育成ではなく、自力で模写でも何でも
自ら取り組んでこそ身に付くものであるという
お考えがあるためではないでしょうか?
その育成方法がうまくいくかは・・・。