宣伝本?
★★★☆☆
よく見ればわかりますが、この本はカーネギーが書いた本ではありません。カーネギー没後、関係者が「デール・カーネギー話し方教室」を作りました。2010年現在この教室が存在するのかどうか知りませんが、この本の内容は、この教室のレッスンを受講した人が、いかに変わったか、いかに成功したか、を中心にまとめられています。
早い話宣伝本です。読んでいて嫌味に感じないのは、この教室がアメリカにある教室で、日本にいる私たちにとっては、受講するしないという問題が発生しないので、客観的に受け止められるからです。
うまい話し方をマスターすることで、人生が変わる、それはあると思います。しかし、話し方の本は日本でも多くの本が出版されていますが、日本では話し方のうまさより誠実さの方が大事、という考え方が主流です。話し方、の本なのに、「うまく話すよりうまく聞く方が大事」と言っている方もいます。営業マンでさえ、「かばんはハンカチの上に置きなさい」という本に書かれている通り、話し方のうまさによりお客様に信頼して頂ける様な誠実な対応が大事という考え方が一般的です。「しゃべりのうまさと押しで契約を取る、そんな考え方古い」と明言している本もあります。あくまでも、日本の話ですが。
もちろん話し方を磨くのが無意味だとは言いません。話し方を磨くことで自分に自信がつき、他の面も伸びる方もいると思います。
ただタイトルが「自己を伸ばす」というのは、内容と少し違うのではないでしょうか。「話し方を変えるとあなたも伸びる」といったタイトルにしなかったのは、同じシリーズで「話し方入門」があり、タイトルがかぶると思ったからでしょう。そういう態度は頂けません。
カーネギー本も多く出ていますが、ご本人が書いたのではない本も多いです。慎重に、選んだ方がいいと思います。