google解剖本だが、やや技術より
★★★☆☆
グーグルを解剖する本であり、エンジニアレベルのインタビューが豊富です。ただし、経営層レベルへのインタビューは少ないです。グーグルの技術、特に、グーグルが力を入れている技術を中心として解説されています。ただ、技術説明としてはそれほど深いものではありません。なので、グーグルの技術について詳しく知りたいという場合には不十分です。一方、技術的にバックグラウンドがないと、この本に書いてある技術説明の多くは理解出来ないのではないかとも思いました。ある程度、ソフトウェアの知識があり、グーグルがなにをやろうとしているのかを手っ取り早く掴みたい人向けです。
技術説明に終始しているわけではありません。エンジニアにとっていかに魅力的な環境をグーグルが提供しているか、など全体的にグーグルに好意的な本だと思います。そして、グーグルの「勢い」を感じさせられる本です。グーグルという会社の性格を詳しく知りたい場合には、ケン・オーレッタ「グーグル秘録」がおすすめです。
Google好きに送るこの一冊
★★★★☆
同じ日経BPが出しているクラウド大全 第2版 サービス詳細から基盤技術までと違って、技術面が50%、Googleの組織についてが40%、そしてGoogleの未来に対してが10%となっており、Google=クラウドという側面での取材からか、これまでの検索会社と広告会社してのGoogleは鳴りを潜め、技術者の楽園として取材がなされています。非常に密度の高い取材だったのか、随所に通常の取材書籍とは違った観点が見受けられます。30人にも及ぶ社員の取材もさることながら、GFSやMapReduse等に代表される分散技術のみにフォーカスする事も無く、バランスよく記事が書かれ最後にはクラウドという魔物が及ぼす脅威、他社からみたGoogleについても書いてあり、満足のいく内容です。今日現在のGoogleはまた進化しているので、あくまでちょっと前のGoogleですが、そのすごさ、将来性を感じるには十分ではないでしょうか。Google好きのみならず、すべてのITファンに読んでもらいたい一冊です。
自分もグーグルのような純粋な信念を持って,この世界で生きていきたいと強く感じた。
★★★★☆
タイトルに「Google」という名の付く本は,当たりはずれが大きいのが特徴だ。そして,この本は「当たり」に相当すると言える。なぜなら,この本を読むことにより,Google の過去・現在・未来のイメージが,より鮮明になるからだ。この本は,Google を概念的に述べたものではなく,徹底的にグーグル社員や関係者をリサーチすることにより,Google 本来の姿を,可能な限り具現化することを目的とした本と言える。そして,それはかなりの部分で成功している。
私がこの本を読んで気になった言葉は,次の通りである。
1.本質的にWebは,デスクトップや,フォルダに収めるファイルといった物理的世界における何らかのメタファで表現したり組織したりするには巨大すぎる。(チェン氏)
→Google は,ファイル,フォルダという固定観念すら打破しようとしている。
2.「Web Elements」
→Google のAPI は,地図など使いこなしているものもあるが,まだまだ利用できるものがある。
3.コンテナ型データセンター
→YouTube でその様子が公開されている。
4.「世界を変える(Change the World)」
→グーグル社員の多くが,口にしているフレーズ。
5.ソーシャルアプリケーション
→ Facebook の猛追。
また,この本を読んで,将来的にグーグルがWave というソフトを投入してくることを知った。これは,今までのWeb アプリケーションの概念を大きく変えるかもしれないというソフト。それを使える日が楽しみであると同時に,本当にそうなるのかという疑問もある。また,米国では,Facebook がグーグルを猛追しているという現状も知った。これから先,グーグルが次のグーグル(つまりFacebook)に追いつかれないとも限らない。今は全盛の「検索サービス」だが,これから先Web が検索から,ソーシャルネットワークサービスに移行する可能性は十分考えられるし,予見できる。すでにグーグルはその波に乗り遅れまいと日々努力しているというわけだ。なぜ,彼らがそこまでするのか。それは「世界を変える」というとても大きな目標を掲げているからだ。決して利益目的ではなく,決して利己的ではなく,世の中に貢献したいという純粋な思いがグーグルを突き動かしているのだと,強く感じる。
そして,この本を読み終わり,グーグルのことが今まで以上に理解できたと同時に,彼らからエネルギーをもらった。自分もグーグルのような純粋な信念を持って,この世界で生きていきたいと強く感じた。
全貌とまでは...
★★☆☆☆
Googleのことを、まだ、あまり知らない方がどんな会社なのか判るように丁寧に説明されています。
コードで世界を変えるなんて日常生活の全域に渡ってコンピュータの存在が高まってきた時代背景が可能にしていると思うが、Googlerの卓越した技術に裏付けされた自信の表れともいえるでしょう。日本ではプログラマの冷遇された立場(もっともレベルは月とスッポンだが)を考えたら、なんともうらやましいものです。
副題に「そのサービス戦略と技術」とありSEの端くれとして技術面にとても興味があったのですが、日経コンピュータらしいアウトラインの紹介になっており、結局よくわからん内容になっていて、そのため評価を下げています。
大きな小企業の秘訣
★★★★☆
グーグルの技術的な革新性については、本書でなくてもいろいろな要素を学ぶことができるが、なぜあの様な企業が存在できるのかを探る観点からも興味深い内容になっている。2万人を超える人員を抱えながらも大企業病に陥る事なく、小企業的な強みを維持・拡張させている秘訣は何か。30人近い社員へのインタービュー記事の中からその秘訣を探り出す読み方をするのも楽しい。技術的な観点だけではなく、人材育成・確保の観点から学びとるべきものは多いはずである。