特に注目したいのは、さまざまな商品をマトリックス上で明快に分類し、直感的に商品特性を理解させてくれる「エモーショナル・マトリクス」というツール。生活者の「エモーショナルスタイル」を「AUTHENTIC STAGE(正統派)」、「MODERN STAGE(現代派)」、「PERFORMANCE STAGE(表現派)」、「CASUAL STAGE(日常派)」など9つのタイプに分類し、それぞれのタイプがどんな商品を好むのか、その価値観や趣味、教養レベルなどを示しながら解説している。
おもしろいのは、このマトリックスを一目した際、明らかなニッチ市場、あるいは競合の少ないエリアが見つかることである。たとえば日本の自動車には「PERFORMANCE STAGE」に属するものが存在しないし、携帯電話に関しては大半の商品が「TRADITIONAL STAGE」に集中しており、じつはまだまだバラエティーが少ない。
生活者の感性から商品開発・マーケティングを考えるという「Emotional Program」の視点は斬新であり、かつ実践的である。最終章の「EPを用いた商品開発事例」からは、商品をヒットさせる秘訣が見つかるかもしれない。(土井英司)