資本主義700年の歴史
★★★★★
資本主義の歴史を15世紀のジェノバ人サイクルに始まる4つのサイクルととらえ、サイクル毎の資本主義の発展を、その時々の国家権力と資本家それぞれの特徴と両者の関係をふまえて解説しています。筆者は現在の第4サイクルをそれに先立つ3つのサイクルとの比較の中で理解することを本書の目的としており、この第4サイクルが題名のthe long twentieth centuryです(サイクルが100年より長いのでlongがつく)。本書の終わりの三分の一ぐらいがこの第4サイクルにあてられています。使われている英語自体は(語彙は別として)平易なのですが、内容的には論旨の流れがつかみにくいところが多く、メモをとりながら流れを見失わないように読むのが結構大変でした。前提知識としてヨーロッパとアメリカの歴史はある程度必要で、私は「もういちど読む山川世界史」でなんとかカバーしましたが、具体的にはどんな史実を踏まえた議論なのかよくわからない箇所も多々ありました。
著者の枠組みを使って資本主義700年の歴史を眺めたときの流れの一貫性やその発展の分かり易さには驚嘆すべきものがあり、また第4サイクルにおける日本の役割も興味深く、是非一読をお奨めします。