「ランチェスター戦略」の第一人者として知られる中小企業コンサルタント、竹田陽一が、顧客維持・獲得のための手法を明らかにした注目の1冊。タイトルにもある「コミ」とはコミュニケーションの略であり、著者はこの「コミ」の重要性と具体的なツールを紹介している。
著者いわく、顧客維持・獲得には、
- お客と接するところでお客に不便をかけないようにしなければならない
- 注文があったり送金があったときはお客に、感謝を態度で示し、お客から好かれて気に入られるようにする
- 定期的にはがきを出して、お客から忘れられないようにする
- お客が思っていること以上の「何か」を実行して、お客に心から喜ばれたり感謝されるようにする
の4つが重要であるが、実際にこれを実践している会社はほんの一握りだという。その証拠に、「購入後、お客に感謝の手紙・はがきを出したか」という著者独自のアンケート調査では、なんとほぼ全業種において9割以上が実践していない。著者は、ここにこそチャンスがあると主張する。
具体的にどんなやり方が「コミ」の手段として有効かは、本書に譲るが、紹介されている手法は、いずれも筆不精でも実践できる簡単なものである。いまや絶版となったベストセラー『一枚のはがきで売上げを伸ばす法―まごころを伝える』が存在していれば、さらに読者の助けになったであろうが、賢明な読者ならば、本書1冊でも十分なヒントを得られるだろう。(土井英司)