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マーラー:交響曲第9番

価格: ¥3,780
カテゴリ: CD
ブランド: SMJ
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マーラー生誕150年になる2010年に存在感ある全集が完結 ★★★★★
デイヴィッド・ジンマンとチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団によるクオリティの高いマーラーの交響曲全集が、2009年録音のこの第9番でひとまず完結したことになる。マーラー生誕150周年にあたる2010年のリリースも、このシリーズが順調に進行したことを物語る。また、このシリーズのために、RCAレーベルが元デッカの優秀な録音スタッフを招聘したことも、レーベルが「本腰で」取り組んだことを示しているだろう。

私は、いまの時点で、このシリーズの全部を聴いたわけではないけれど、聴いたものはいずれも見通しの良い明るさと、楽器の混濁のないハーモニーが印象的で、オーケストラの力量も含めて認識を新たにすることとなった。

この第9番も素晴らしい内容。第1楽章の厳かな冒頭、ちょっと暗く、だけど暖かい情感を宿す楽想を、弦のグラデーションが実に巧妙に再現してくれる。テンポは穏当だが、部分的にタメや揺れを利かすあたりにマーラーの濃密なロマンティシズムを感じさせる。これはやり過ぎてはいけないのだけれど、ジンマンのタメは「ここぞ」という時にのみ放たれる。そのためエネルギーの蓄積と放散の過程が、音楽のクライマックスに合致して心地よい。金管のファンフアーレは肌理が細かく、精密だが冷たい音にならないのが良い。絶え間なく揺れる振動に沿って、きれいに吹かれている。

中間2楽章も鮮明で分かり易い。木管の透明な音色に録音技術の高さを感じる。くっきりと階層分けのできているサウンドが、シンフォニックな豊かさに結びついている。第3楽章の短いが決然としたエンディングは陰影を際立てていて印象に残る。

終楽章の荘重なアダージョも弦楽器陣のサウンドが豊穣に広がっており、その上に築かれる合奏は立派な恰幅があり、頼もしい。静かに消え行く最後も淡い余韻が残る。

録音・演奏ともに秀でた全集の末尾を飾るに相応しいディスク。今後も、他のマーラーの楽曲を継続してリリースしてほしいと思う。