これは良い映像作品。拾い物です。
★★★★★
絵がいい。
構図や配色だけでなく、作品の空気感が伝わってくる映像。
内容的には最低限の映画経験があれば難解ではなく、
ラストに衝撃があるわけでもないが、確かに伝わって来るものがあり、
見終わった後には清廉された感覚を覚えるだろう。
創作活動、または、クリエイティヴであること、その精神の一端がこの作品には良く表れている。
方向性・編集的なさじ加減も良かったと思う。
これ以上、エロスに傾いても、ホラーに傾いても完成度は下がったいたのではないか。
幸福でもなく不幸でもない、しかしメディアが押し付ける現代や過度なカリカチュアライズ
だけは周到にそぎ落とし、人物を描いていると感じた。おすすめです。
鎌倉の佇まいが妖気をはらむ・・・。これは面白いです。
★★★★☆
売れない作家の真木栗が体感する「別世界」を我々も覗き込む・・・。単純に頭痛薬の飲みすぎなのか、本当にそこに「何か」いたのか。いずれにせよ時間軸もぶれた状況で物語は進んでいく。どこまでが現実でどこからが悪夢なのか。正直、深川監督がこういうシャシンを撮れるとは、ちょっと驚きだった。少なくとも真木栗とあの部屋で絡んで、現実世界にいたのは隣人役の北村有起哉と、編集者役の木下あゆ美だけだ。その両方を表現する西島秀俊は、今までにない「憑かれた」表情が素晴らしく、最後の「疲れ」メイクも必要なかったんじゃないかと思うほどの演技で魅せた。「幽霊?」役の粟田麗も、普段は小さな役が多いが、これだけ妖しく振舞えるのもびっくりした。木下あゆ美は本作が女優としての転機になるのでは。アイドルが映画に出る、という感じじゃなくて、しっかりと感情を出し切った芝居は一級の「女優」だった。メインのロケ地は鎌倉だ。これがまた素晴らしい雰囲気を醸し出している。高間賢治という名カメラマンを起用していることもあり、異空間への出入り口としての「鎌倉」はとっても妖しい魅力に満ちていた(アパートは浦安らしいが・・・)。メイキングを観ると、公開まで1年以上かかっていることがわかる(オールアップからの期間じゃなくて、完成後から)。やはり大手配給会社、TV局、代理店が介在しない作品は冷遇されるようだ。確かにその年の興行成績トップ10に入るようなシャシンではないが、下らないTVドラマの劇場版などかけているヒマがあったら(よい映画化もたくさんあるけど)、こういう中味で勝負できる作品を優先してほしい。星は4つ。
鎌倉の…
★★★★★
大好きな作品のひとつです。デビュー当時から西島秀俊さんの静かな存在感が好きで、いくつかの作品を拝見しておりましたが、今回の真木栗勉役が一番似合っている様な気がします。風のない蒸し暑い鎌倉の夏と壊れそうなアパート、音楽も景色も幻想的でいい。アパートへ続く山間のトンネルは鎌倉を舞台にした作品にはよく見る事ができますがこの世とあの世を結ぶ道の様な気がします。私的な感想ですが、粟田麗さんはきれいな方なのですがもう少し妖しげな魅力のある大人の女性の方に演じて欲しかったです。木下あゆ美さんはよく合った役でした。
観た後しばらく浮遊状態に。
★★★★★
不思議な、味のある映画ですね。
ストーリーといいセットといいいかにも’昭和’なのですが、
ヒロインの夫の仕事は○○関係なので、時代は現代だ!と知らされます。
つかみどころがないというか非常に変わった映画でしたが
クセになる、そんな感じがしました。
主人公は西島さんの雰囲気にぴったりです。
ボロアパートの一室でどんなに惨めな独身生活を送っていても、そこはかとない気品と清潔感が漂う所なんかは西島さんならでは。
また観たくなる映画です。
泉鏡花の世界のような白昼夢世界が拡がります
★★★★★
大阪のとある映画館でこの作品を観て、感動しました。どこまでが、現実なのか、幻なのか、境界があやふやな
世界が登場します。主人公は売れない小説家で、西島秀俊のナチュラルな演技がまことに素晴らしい。
私は年館60本以上映画をみますが、この作品が2008年のベスト作品です。癖の強い作品で、好悪はハッキリするでしょうが、好きな人が観れば必ずはまる作品です。ちなみに、この作品の後、私は西島秀俊が大好きとなり、
“休暇”とか“東南角部屋二階の女”など次々に観ることになりました。